地方経済
【コロナ危機 苦境を越える】広島名物もみじまんじゅう販売低迷 地元向けやコラボで巻き返し
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長引き、広島土産を代表するもみじまんじゅうの販売が低迷を続けている。緊急事態宣言中だったゴールデンウイーク(GW)に比べると回復傾向とはいえ、今も昨年の半分程度にとどまる。行楽期を迎えても例年のにぎわいは戻らず、菓子メーカーは新商品などで巻き返そうとしている。
にしき堂(広島市東区)のGWの売り上げは昨年の1割に落ち込んだ。観光客や出張の減少に加え、感染拡大に備えた直営店の一時閉店が響いた。8、9月の売り上げも半分程度。大谷悠介専務は「ビジネス客の売り上げは収束後も厳しいだろう」と予想する。
世界遺産の島・宮島に本店を構えるやまだ屋(廿日市市)も売り上げが5割近く落ち込んだままだ。販売課の中村嘉孝課長は「紅葉が宮島を彩るこの時期は1番の繁忙期なのに」と肩を落とす。
観光需要が戻らない中、各社は地元客向けや話題性をキーワードに対策に動いている。にしき堂は7月に初めて季節限定商品の「あんずもみじ」を発売。10月1日には第2弾として秋季限定の「かぼちゃもみじ」を売り出した。大谷専務は「定番とは違う味を提供し、地元客が店に来るきっかけにしたい」と狙いを明かす。
やまだ屋が力を入れるのは他社とのコラボ商品。自社製品とお好み焼きなどのセットや、県内外の菓子店と協力したセットを次々と発売した。中村課長は「観光にかかわる業者同士で協力すれば話題性も増す」と説明。地元の若者を意識した「りんご&チーズもみじ」も29日に季節限定で売り出す。
藤い屋(廿日市市)は自社のオンラインショップを約1年ぶりに再開した。「もみじまんじゅうを食べたい人が来店せずに買えるようにしていく」とする。
旅行や出張がコロナ禍の前のように活発になり、土産需要が回復する時期は見通せない。にしき堂の大谷専務は「県外のイベントに出店するなどして販路を広げたい」と話す。(黒川雅弘、加田智之)
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