地方経済

【フィーチャー】コロナ禍打開、メンテ業で 広島の三菱重グループ2社

2021/1/13 23:25
PTJの製鉄機械工場。今期の受注が前期より4割少なくなっている

PTJの製鉄機械工場。今期の受注が前期より4割少なくなっている

 広島市内の三菱重工業グループ2社が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う業績低迷からの立て直しを急いでいる。大型圧縮機(コンプレッサー)を製造する三菱重工コンプレッサ(MCO、西区)と製鉄機械を手掛けるプライメタルズテクノロジーズジャパン(PTJ、同)で、製造以外のサービスの強化や新たなニーズへの丁寧な対応で反転を図る姿勢を示している。

 ▽熟練技術を活用、反転狙う

 三菱重工広島製作所観音工場(西区)内に本社を構えるMCOは昨年4月以降、中国やロシアの化学工場、中東の液化天然ガス関連企業からの発注が相次いで遅れ、工場の操業が落ち込んだ。生産ラインは既に、圧縮機の部品加工や試運転が進むなど普段の姿を取り戻したものの、山根康幸社長の表情は緩まない。「顧客の投資決断が鈍くなった」と明かす。

 新型コロナの流行は収束が見えず、昨年春の原油価格の暴落で石油会社の経営が悪化した影響も残っている。2021年3月期は前半が低調で、売上高は前年より100億円少ない約600億円と予想。山根社長によると、商談では発注に至らない「検討」が増えた。「受注が思わしくない。大型の羽根を削れる機材を入れ、準備は万端整っているのに」と寂しがる。

 ▽鉄鋼不振が直撃

 同じ敷地内にあるPTJも、国内や中国、インドの鉄鋼メーカーの低操業のあおりを受ける。過去の受注分があるため、今期は売上高が前年並みの約400億円を見込む一方、受注は4割減っている。大森秀樹社長は「22年3月期に操業が落ちる時期は予測できている。その時期に、開発やコストの改善に人員を投入したい」と気を引き締める。

 MCOの圧縮機もPTJの製鉄機械も世界市場は成熟しており、競争が激しい。規模の急拡大が難しい中、両社が成長の鍵を握るとみるのが修繕、改良などのアフターサービスだ。

 MCOは、国内外の出荷先の約半数が自社で定期修理をしたり現地の企業に任せたりする状況を「伸びしろ」とみる。今後は積極的に声を掛け、修繕に加えて性能や効率を高める改修も提案。競合他社の機械のメンテナンスも増やし、現在200億円規模のアフターサービスの売り上げを3年後に1・5〜2倍にする目標を掲げる。東南アジアなどをカバーする営業拠点を新設できないか検討を進めている。

 PTJも、売り上げに占めるアフターサービスの割合を現在の10%前後から20%へ高める考えでいる。中国で製鉄会社と共同企業体(JV)を作って設備の保守管理を担当する仕組みを始めており、他国にも広げる。大森社長は「熟練技術者の不足で国内でも、難しいメンテナンスの相談が来るようになった。自社の技術を生かして対応する」と需要の取り込みを図る。

 ▽CO2対策、需要に

 新たな需要も見据える。世界各国が打ち出す温室効果ガスの削減方針を受けた、工場などの設備の刷新や改良だ。特にPTJは、走行中に二酸化炭素(CO2)を出さない電気自動車に必要な電磁鋼板について、増産に向かうメーカーが多いとみて既に導入している生産設備の売り込みを強める。2人の社長は「CO2の回収技術など需要の高い分野を伸ばす」と力を込める。(秋吉正哉)

 【記者の目】地域導く活力を

 中国地方の主な事業所で約8千人が働く三菱重工業は、地域経済で大きな存在感を示している。中でも世界展開するMCOとPTJが担う役割は大きい。両社の取り組みが奏功してコロナ禍から巻き返せば、地域に新たな活力も生まれるだろう。苦境を見詰め、その突破に向けてしなやかに動く両社に期待している。 


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