地方経済

ミドリムシ燃料、量産の準備着々 早期実現目指すユーグレナ・出雲社長

2021/1/22 22:18
バイオ燃料の原料になるミドリムシ

バイオ燃料の原料になるミドリムシ

 ▽CO2排出減へ「目標前倒し」

 藻類のミドリムシで作るバイオ燃料で飛行機や車が動く時代が近づいているようだ。バイオベンチャー企業ユーグレナ(東京)は2025年に商業プラントを稼働させ、製造コストを1リットル100円台に下げる計画を持つ。出雲充社長(呉市出身)は二酸化炭素(CO2)の排出減に向け「30年までに年100万キロリットルを生産する目標をできるだけ前倒しで達成したい」と強調。他社と協力して量産準備を進めている。

 いすゞ自動車と共同で昨年、軽油の代わりになるバイオディーゼル燃料を完成させた。ミドリムシや廃食油を用いて横浜市の実証プラントで生産し、約30社に供給。マツダの役員車や、西武バスが都内などで運行する路線バス、横浜市内で走るファミリーマートの配送車やセブン―イレブンの店を回るペットボトル回収車などに使われている。

 実証プラントの年産能力は125キロリットル。出雲社長は「商業プラントを稼働し、年産25万キロリットルになれば当たり前のように使ってもらえる」とみる。製造コストを今の1リットル1万円から100円台に下げる道筋を描く。

 バイオ燃料を燃やして出るCO2は、ミドリムシが光合成で大気中のCO2を吸収するため相殺すると考えられる。生産量を30年までに年100万キロリットルとする目標については、「50年に国内の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と打ち出した菅義偉首相の宣言を踏まえ「空気感が一気に変わった。気候変動を考えると、できるだけ前倒ししたい」と力を込める。

 他社との連携が鍵を握る。量産に向け自動車部品メーカーのデンソーと19年に事業提携した。20年には飛行機の燃料の原料となる藻類の大量培養に向けた伊藤忠商事やデンソーなどとの技術開発が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業に採択された。出雲社長は「パートナー企業と知恵を合わせてCO2削減に貢献する」と語る。

 ミドリムシ由来の燃料に合うと見込むのが、飛行機やディーゼルエンジンで動くバス、トラック、船だ。電動化のハードルが高いとみて「長距離輸送の燃料で主役を張る」と意欲を示す。

 トラックやバスが電気で長距離を走る場合は「何度も充電する必要があり時間がかかる」と指摘。「今ある車をバイオ燃料で走らせることが理にかなう」と強調する。「バイオ燃料が普及すればマツダのクリーンディーゼル車の社会的な価値が上がる」と広島の自動車産業への後押しも誓う。

 飛行機については20年にバイオジェット燃料を作るための国際規格を日本企業で初めて取得した。東京五輪・パラリンピックに合わせ、この燃料で全日空と共同で飛行機を飛ばす計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で見送った。出雲社長は「技術的な課題はない」と引き続き実現を目指す。(境信重)

 いずも・みつる 東京大農学部卒。東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)を経て2005年にユーグレナを創業し社長就任。ミドリムシを活用した食品や化粧品を製造、販売している。12年に東証マザーズ上場、14年に東証1部へ変更。20年9月期の売上高は133億1700万円。41歳。


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  • ミドリムシ由来のバイオ燃料の量産計画を説明する出雲社長

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