地方経済
居酒屋、ラーメンランチに活路 専門店がレシピ提供も 広島市内【コロナ危機 苦境を越える】
広島市内の居酒屋でランチのメニューにラーメンを加える動きが広がっている。新型コロナウイルスの流行で落ち込んだ売り上げを補うため、独自の商品を開発して昼営業を強化している。経営に役立ててもらおうと、他の飲食店にレシピを教えるラーメン店も現れた。
海鮮居酒屋の「やぶき」(中区)は昨年8月にランチ営業を始め、しょうゆラーメンを提供している。夜に出す貝汁をベースに、青森県産の地鶏などを煮込んでスープを仕上げた。1杯780円。新型コロナで夜の営業が苦戦して売り上げが前年の3割で推移する中、新たな収入源にしようと2週間かけて考案した。
矢吹勇紀代表は「素早く調理でき、多くのメニューを用意しなくて済む」と説明。昨年11月は1日平均100杯売れ、夜と合わせると売り上げは前年並みまで回復した。今も時短営業をする中で「ラーメンがなかったら経営がもっと厳しかった」と話す。
ラーメン業界の情報を飲食店などに提供しているラーメンデータバンク(東京)によると、新たに始めたいという居酒屋からの相談が緊急事態宣言下の昨年5月から増えている。宮内孝典社長は「ご飯ものとのセットやトッピングを用意すれば単価を上げやすい。夜の来店へもつなげられる」と分析する。
市内で焼き鳥店「カープ鳥」を運営する野球鳥(中区)は今年1月、中区立町の店でラーメンの提供を始めた。昨年12月に約60年の営業を終えた向かいの定食店「みよし食堂」の味を引き継いだ。豚骨しょうゆベースの鶏がら入りスープで700円。昼だけのメニューで、志毛淳一店長は「みよし食堂が好きだった人だけでなく、新たな客にも味を伝えたい」と力を込める。
居酒屋などにレシピを提供しようと動きだしたのは、塩ラーメン専門店「スター&プラチナ」(安佐南区)。コロナ禍で苦境に立つ店が増える中、昨年11月からツイッターで呼び掛けている。「新メニューが話題になれば、売り上げの回復につながる可能性がある」とし、苦境に立つ飲食店の役に立ちたい考えだ。(黒川雅弘)
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