地方経済
フタバ図書、17機関から負債235億円 9割放棄で合意か
3月から新会社での事業再生を目指す書店チェーンのフタバ図書(広島市西区)が金融機関から計235億円を借り入れていることが12日、関係者への取材で分かった。借入先は銀行など17機関で、それぞれが9割の債権を放棄することで合意したとみられる。地場の大手チェーンの再生を優先するため、金融機関が協力した格好だ。
複数の関係者によると、融資したのはメインバンクのもみじ銀行(中区)などの地場金融機関や四国、九州の銀行、メガバンク、政府系金融機関など。額はそれぞれ数億〜三十数億円に上る。放棄した債権は多くの金融機関が2020年3月期決算までに損失を計上したとみられる。
融資した地場金融機関の幹部は「事業規模が大きく、なくなれば地域経済への影響が大きい。経営者の責任追及より、事業再生が先立った」と明かした。各機関とも経営への影響は小さくないが、再生に協力することでまとまったという。
フタバ図書は1997年以降、CDやDVDのレンタルサービスを併設した大型複合書店を相次ぎ出店。2014年にコンビニ、18年にフィットネスクラブに参入した。事業の多角化に加え、不適切な会計処理があったとの金融機関の証言もあり、負債を増やしていったとみられる。
同社は自力での経営再建が難しくなり、昨年1月に私的整理の一種「事業再生ADR」を申請した。国が認めた第三者機関が金融機関との利害を調整し、事業を続けながら早期の再生を目指す。同時に事業再編も進め、店舗網を大幅に縮小。本社が入る西区観音本町の店も売却し、本社機能を近くのビルへ移した。
同社は今年1月、再生計画を発表。広島県が創設したひろしまイノベーション推進機構(中区)のファンドなどが出資する新会社に、3月に事業譲渡する。残る負債は新会社が引き継ぐ。(松本真由子)
【解説】フタバ図書負債免除 経済打撃の回避優先、経営陣なお説明責任
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