地方経済

セーラー万年筆、創業の呉に本店 新工場で高級品増産へ

2021/4/8 22:12
セーラー万年筆の新工場棟の完成予想図

セーラー万年筆の新工場棟の完成予想図

 呉市発祥のセーラー万年筆は、老朽化している同市の広島工場(旧天応工場)に中核となる新たな工場棟を建設する。来年7月からの稼働を予定。今月1日には登記上の本店所在地を東京から同工場に移した。110周年を迎えた創業の地で、高級万年筆の製造拠点としての存在感を高める。

 計画では、新棟は鉄骨2階建て延べ約4800平方メートル。天応工場が稼働した1939年から使用している建屋など敷地内の17棟を、新棟など5棟に集約する。2018年夏の西日本豪雨で浸水し一時操業できなかった教訓を生かし、地面をかさ上げする。

 従業員約150人の態勢は維持する。建設に当たり、呼称を3月に広島工場へ変えた。投資額は約16億8千万円。11月に着工する。

 ペーパーレス化が進む中でも、万年筆は愛用品としての需要が堅調という。新棟の稼働後は、1万円以上の高価格帯を増産する計画。生産数を現在の月1万5千本から2万本に引き上げる。

 同社は、販売面で他社との連携を進めている。3月には、オフィス家具や文具製造販売のプラス(東京)と東京・銀座に専門店を出店。店内で万年筆のパーツを選べたり、インクを好みの色にブレンドできたりする。連携を円滑にするため、本社機能は東京に残した。

 セーラー万年筆は1911年に呉市で創業し、国内で初めて万年筆の製造を始めた。社名のセーラー(水兵)には、納入先だった海軍への感謝が込められている。木村孝工場長は「創業地で原点回帰し、技術力を高める。万年筆の書き心地の良さを突き詰めたい」と話している。(東谷和平)



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