地方経済

宇部の石炭火電を断念 電源開発、不採算と判断

2021/4/16 23:30

 電源開発(Jパワー、東京)は16日、宇部興産(宇部市)と宇部市で検討していた石炭火力発電所の建設計画を断念すると発表した。電力需要の伸び悩みや再生可能エネルギーの拡大で思うような稼働が見込めず、採算が合わないと判断した。脱炭素の流れが強まる中、石炭火力の厳しい現状が鮮明になった。

 建設を取りやめるのは、宇部市西沖の山にある宇部興産所有地で計画した60万キロワットの発電所2基。2026年の運転開始を予定していた。当初は両社と大阪ガス(大阪市)の計3社が計画し、15年に共同出資して山口宇部パワー(宇部市)を設立。総事業費は約3千億円を見込んだ。しかし、大阪ガスが費用に見合わないとして19年に撤退した。

 Jパワーと宇部興産はその後、2基を1基に減らして投資負担を抑えるか、より二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない石炭ガス化複合発電(IGCC)を入れるかを検討してきた。中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働で中国地方の電力の供給力が増すことも考慮し、建設しても投資の回収は困難と結論付けた。

 CO2排出量が多い石炭火力は建設断念が相次ぐ。18年に中国電力とJFEスチール(東京)が建設費の増加などを理由に千葉市での計画を中止。天然ガスへの変更を探ったが今年3月に取りやめを発表した。

 東京都内で記者会見したJパワーの菅野等取締役常務執行役員は「国際的に石炭火力への批判が強いことが判断のベースにある」と発言。広島県大崎上島町で中電と開発しているIGCCの技術を長崎県の石炭火力に導入し、CO2の削減や水素発電を目指す方針を示した。(境信重)


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