地方経済

広島・八丁堀に高層ビル3棟建設計画 15〜30階程度・300億〜400億円規模、28年度目標

2021/6/1 0:02
高層ビル3棟を建てる再開発計画が進んでいると分かった広島市中区八丁堀地区の一角(撮影・高橋洋史)

高層ビル3棟を建てる再開発計画が進んでいると分かった広島市中区八丁堀地区の一角(撮影・高橋洋史)

 広島市中心部の八丁堀地区(中区)で、既存のビル群を取り壊して高層ビル3棟を建てる大規模な再開発計画が進んでいることが31日、分かった。オフィスや商業施設、マンションが入る地上15〜30階程度の3棟を、2028年度までに段階的に建設するのを目指している。地権者が準備組合を設けて青写真を描いており、事業費で300億〜400億円規模を見込む一大プロジェクトとなる。

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 再開発エリアは、県庁や国合同庁舎、日本銀行広島支店などが集まる広島の都心にある。約50メートル南西では市営基町駐車場に広島商工会議所(中区)を移転して高層ビルを建てる計画が進み、南側の本通り商店街では大規模な再開発ビルの整備を目指す計画が浮上している。都心の再生が加速する中での新計画となる。

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 複数の関係者によると、再開発エリアは1・2ヘクタール。教育関連施設やホールが入る広島YMCAのビル5棟をはじめ、市勤労青少年ホームが入る幟会館、銀行やコンビニがある民間ビル、マンションなど計10棟がある。いずれも1960〜80年代に建てられ、老朽化が課題だった。

 計画では全棟を取り壊し、地上15〜30階程度のビル3棟を建設する。設備の整った高規格ビルに更新し、魅力を高める狙い。広島YMCAなど、一部の機能は引き継ぐ。市の京口門公園(1120平方メートル)は新ビルの谷間に移し、植栽やベンチを整備した憩いのスペースを設ける。

 地権者たちが17年11月に「広島八丁堀3・7地区市街地再開発準備組合」を設立し、協議を進めてきた。大手ゼネコンを事業協力者に、本年度中の市への都市計画案の提出と決定を目指している。23年度以降に順次着工し、全体の工期は5年程度とみているという。

 再開発エリアを含む紙屋町・八丁堀地区は、国から18年10月、都市再生緊急整備地域に指定された。容積率や用途で規制が緩和されたため、建てるビルの自由度が増している。20年9月には、税制面でも優遇される特定都市再生緊急整備地域に格上げされている。

 【解説】コロナ後へ強い決意

 新型コロナウイルス禍でオフィス需要の先細りが懸念される中、広島都心の一等地で新たな再開発計画が判明した。古くなったビルを抱え続けるのではなく、大規模な建て替えでコロナ後の時代に対応する―。今回の計画からは、地権者たちの強い決意がにじむ。

 広島市営基町駐車場一帯や本通り商店街など近隣で判明している再開発計画と比べて、今回のプロジェクトは詳細が詰まり、より現実味が高いのが特徴だ。地権者たちが準備組合を設立したのは2017年11月。コロナ禍の直撃を受けながら、高層ビル3棟を建設する青写真を練り上げた。

 「ウィズコロナ」「ポストコロナ」の働き方などを見据えると、古い中小ビルではオフィス需要を取り込めないとの見方は、不動産業界で共通する。使い勝手が良いとされるのは1フロア千平方メートルを超すビル。紙屋町・八丁堀地区では1970年代ごろの建設が多く、好条件の物件は多くはないとされる。

 そこでプロジェクトは、大型投資で競争力を一気に高めると思い描く。ある関係者は「ソーシャルディスタンスを保つ広さがあり、災害対策が進んだビルは、コロナ禍でも確実に借り手がつく」と勝算を語る。

 一般社団法人・地域価値共創センター(中区)によると、地区を東西に貫く相生通り沿いのビルの更新が今後10年で進めば、オフィスの床面積は1・8倍、就業人口は1・3倍になるという。一帯の再開発計画が相乗効果を生むのか、それとも顧客を奪い合う関係で終わるのか。広島市を含めて、都市づくりのビジョンが一層問われる。(新山創)


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