地方経済

部品も素材も電動車対応 地場メーカー、相次ぎ開発・設備投資

2021/9/14 21:53
ダイキョーニシカワが開発中のバッテリーカバー

ダイキョーニシカワが開発中のバッテリーカバー

 電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動車への対応を、中国地方の部品や素材のメーカーが強めている。世界的な脱炭素社会の機運を追い風に、市場の急成長が見込まれるためだ。マツダも今年、電動化を拡充する新戦略を打ち出した。新技術の開発や設備投資の動きはいっそう熱を帯びそうだ。

 ▽35年には販売台数8・4倍 高い成長性が追い風

 樹脂部品のダイキョーニシカワ(東広島市)は、電動車用の新しいバッテリーカバーの開発を始めた。電磁波の防護や耐火の性能を高めるため、樹脂の間に薄いアルミニウムを挟む。アルミの加工は初めて。2025年ごろの実用化を目指す。機能部品開発グループの村井誠マネージャーは「アルミと同時に成形して低コストを実現する。自動車メーカーの要求に応えたい」と意気込む。

 電動車向けに今年、50億円規模の設備投資をするのはアルミダイカスト製品などのリョービ(府中市)。まず年内にHVのバッテリーとモーターのケースを、来年春にプラグインハイブリッド車(PHV)のバッテリーケースを量産する。EV向けのケースは25年ごろに生産を始める計画だ。

 ■半数近くEVに

 素材では、JFEスチール(東京)が西日本製鉄所倉敷地区(倉敷市)のラインを増強する。モーターに使われる高性能な電磁鋼板の供給力を高める。宇部興産(宇部市)は宇部ケミカル工場(同)に工場棟を増やし、電動車などの回路の基板に使われる樹脂ポリイミドの原料を増産する。

 このほか生産設備の島根自動機(松江市)は研究開発棟を同市に新設。車載リチウムイオン電池を造る設備の開発に注力する。

 環境規制が強まる中、電動車は高い成長が見込まれている。調査会社の富士経済(東京)は7月、電動車(HV、PHV、EV)の販売が35年に計4919万台と、20年の8・4倍になるとの予測を発表した。このうち半数近くを占めるのが11倍増のEV。「22年にHVの市場を超え、以降は電動車の主役となる」とみる。一方、エンジンだけの車は4割減の見込み。部品メーカーは新分野に対応する必要性が高まっている。

 ■地銀も応援態勢

 マツダも電動化に大きくかじを切る。今年6月、22〜25年に13車種の電動車を発売する新戦略を発表した。生産する全ての車に電動化技術を搭載する30年時点で、25%はEVにする新しい方針も示した。

 新技術への挑戦や設備増強に踏み切る転機になるため、金融機関も地場メーカーを後押しする。広島銀行(広島市中区)は本年度、部品メーカーの新分野への進出や電動化などを支援する新たな取り組みを開始。野村総合研究所(東京)と協力し、他地域の先行事例を基にした助言などでサポートする考えだ。(井上龍太郎)


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