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【中村角(広島市西区)社長 中村一朗さん】品ぞろえと提案力が強み

2021/2/24
中村社長(左端)の話を聞く右から川辺さん、村上さん、丸井さん、丹下さん

中村社長(左端)の話を聞く右から川辺さん、村上さん、丸井さん、丹下さん

 豊富な品ぞろえと独自の提案力を武器に、地域に根差し、地域の食を支え続けてきた総合食品卸の中村角(広島市西区)。中村一朗社長(52)に、事業への思いや学生へのアドバイスを聞いた。
(聞き手は、広島大・村上絵里花、川辺陽大、安田女子大・丸井穂乃佳、広島修道大・丹下佳乃)

 ―大学卒業後の就職先はどのように決めましたか。
 銀行は、融資を通じて企業の成長に関われる、困っている企業を助けられる、社会に必要な仕事だと考えた。経済学部だったし、あまり迷わず選んで、東京で就職した。
 実は、卒業後に広島で家業を継ごうとは考えていなかった。考えが変わったのは、東京支店で中小企業の融資担当をした頃だ。経営者と話をして、融資の判断をして…。中小企業であればあるほど、後継者が決まっているかが融資の時のポイントになる。そういう仕事をする中で、自分も社長の息子として広島に帰り、中村角でちゃんと仕事をすることが使命なのではないかと思うようになった。

 ―社長に就任して約10年がたちました。大切にしていることは。
 就任後、企業理念を明文化した。簡単に言うと「地域貢献」「取引先への貢献」「会社と社員の幸せの追求」だ。特に社員の幸せを追求したいという思いが強い。給料に加えて、「この会社で働いて良かった」と思ってもらいたい。その二つの満足度を上げるためにも、強い会社にしていくことが必要だ。
 社長の仕事は、自分がやろうと思ったことができる面白さがある。でも結果が問われる。大きな決断は自分がしないといけないし責任を伴う。結果を出すことが僕の仕事だと思っている。

 ―他社に負けない強みは何ですか。
 地域の小さなメーカーが少量生産している、地域の商品をたくさん扱っていることだ。中村角だからこそそろう商品を増やしている。この業界はすごく競争が激しい。1兆円、2兆円規模の売り上げがある全国卸と競争している。生き残るためには、何か特徴を出していく必要がある。
 5、6年前から、プライベートブランド(PB)商品にも力を入れている。それまでは「留め型商品」というメーカーと共同開発して独占的に扱う商品はあったが、PBは売れ残ったときのリスクがあるからやらないと決めていた。
 しかし社内から、自信のある商品を「中村角」の名前で責任をもって売ろうという声が上がった。例えば、パッケージにカープ坊やをあしらった「ぶちうまい焼そば」。歯応えや味、賞味期限も長めにできるよう製法も工夫し、リピーターの多いヒット商品になった。
 そして、もう一つの強みが提案力。ただ新商品を紹介するだけでなく、売り方や調理法、価格などを提案することが大事だと思っている。全国卸に比べて一人一人の社員が担当する得意先の数は少ないが、その分、各社の特性を理解した提案をするという点では負けていない。

 ―学生へのアドバイスをお願いします。
 中学高校はサッカー部で、大学でも続けたが、途中でけがをして、体育会本部で全体の世話係のような仕事をした。いろいろな部の人と仲良くなり、そこで得られた友人は一つの財産だと思っている。
 学生時代に「これはやり切った」というものをしっかりつくってほしい。必ずしも学業じゃなくてもいい。アルバイトやサークル、他の活動でも、何か見つけてほしい。

 ▽なかむら・いちろう 1992年、東京大経済学部を卒業後、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に入行。法人向け融資担当などを経て、98年、中村角に入社。専務などを経て、2010年から現職。広島市西区出身。

 ▽中村角 本社は広島市西区。1948年、故中村角太郎さんが広島市中区で海産乾物卸を創業。63年に現社名に変更し、81年に現在地へ移った。水産加工品や業務用食品、豆腐、総菜などの食品を幅広くスーパーや飲食店、病院、福祉施設などに卸す。関連会社は、調味料製造のカクサン食品(広島市西区)など。売上高は281億5800万円(2020年3月期)。従業員数約290人。

▽インタビューを終えて

 広島大1年・村上絵里花(19)
 商品開発の場や、仕分けや出荷までの流れを見学させてもらえたことがうれしかった。商品を売り込む際の営業の努力などを聞き、特徴や強みがあることの大切さが分かった。今後、社会人として仕事に携わるときや、普段の生活でも思い出して生かしていきたい。

 安田女子大3年・丸井穂乃佳(20)
 銀行員として勤務してから会社を継ぐ意味を見出したこと。少量生産でも、根強く愛される商品を売り続けること…。一見、回り道に見えることが強みになっていると感じた。私も回り道をしても意味を持たせられるように、行動していきたい。

 広島大2年・川辺陽大(21)
 競合する他社に負けない強い会社を作っていくためには、明確な目標を示す必要があると感じた。会社を構成する一人一人の行動にも当てはまると思う。どんな小さなことでも、その行動の意味を考えて周囲に示していくことが大切だと学んだ。

 広島修道大3年・丹下佳乃(21)
 中村社長の、新しいことへ挑戦する実行力に心を打たれた。「やってみたい」と思うことは簡単だが、行動に移すことは難しい。中村社長の実行力を見習いたい。私も、物事に挑戦する時は、自分に自信を持ってまず行動してみようと思った。

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