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【ソアラサービス(広島市中区)社長 牛来千鶴さん】 オフィス共有 地域を結ぶ

2021/3/25
牛来社長(左端)に取材する右から神津さん、本間さん、松原さん、形山さん

牛来社長(左端)に取材する右から神津さん、本間さん、松原さん、形山さん

 シェアオフィスの運営や商品開発、創業支援を手掛けるソアラサービス(広島市中区)。新たなビジネスモデルを切り開いてきた創業者の牛来千鶴社長(58)に、事業への思いや学生へのアドバイスを聞いた。
(聞き手は、県立広島大・松原歩花、安田女子大・形山羽奈、広島工業大・本間宙峰、広島市立大・神津圭佑)

 ―起業した経緯は。
 短大卒業後に教科書出版社に就職したのは、経営者だった伯父に偶然、会う機会があって頼み込んだから。当時は卒業後に何をしたいか考えていなかった。2年半、事務職をして出産のため退社。専業主婦だったが、何か仕事がしたいと思い、企画会社で販売促進プランナーを始めた。
 イベントや印刷物の企画などの仕事を学ばせてもらったが、大病を患ったこともあり、すでにある商品のPRだけでなく「本質的なことがやりたい」と価値観が変わってきた。そこで1999年に独立。個人事業主として自宅で販売促進プランナーの仕事を始めた。

 ―シェアオフィスはどのように発案したのですか。
 当時は「シェアオフィス」という呼び方もなかった。自分で考えて「共同オフィス」と言っていた。小規模事業者や個人などのSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)という働き方が増えていて、自分もその立場だった。1人で仕事をしていると、世の中で自分だけが頑張っているような孤独を感じる。他のSOHOの仲間もオフィスを共有して働く場、交流の場を欲しがっていた。じゃあ、私がつくろうと考えた。
 小さなビルの30坪で、20万円の初期投資で始めた。もらってきた机を並べ、仕切りをベニヤ板で手作り。10人ぐらい入居した。
 今の規模にするための資金集めには苦労した。出資してもらおうにも、当時は地元企業のトップにすぐに会えるわけでもない。何とか資金が集まったのは、手弁当で開いていた広島のプロたちを紹介する「ひろしまSOHO博」(2003〜05年)などの地道な活動を地元のキーマンたちが見て、応援してやろうと思ってもらえたからだ。

 ―社の強みは何ですか。
 三つの事業をやっていること。新商品についてオフィスの入居者から意見をもらったり、創業支援をしていく中で商品開発のアイデアが出たり…。3事業がリンクして、良い循環ができている。
 そして、利益のためだけにやっていないということ。地域の人が求めている物や「広島にあったらいいな」と思うものを形にしている。シェアオフィスの創業もその一つだ。続けるために利益は必要だが、利益ありきじゃない。だから多くの人が応援してくれる。

 ―今後の目標は。
 「平和」をキーワードにした土産物ブランド「アース・ヒロシマ」を海外に広めること。16年から企画や販促を手掛けてきた。「広島と言えばアース」と言ってもらえるようなブランドにしたい。
 個人的には、世界を巡りながら仕事をしたい。社長の仕事は若手に任せて、海外で見つけた良い物やサービスを広島につなげる―。世界の困っている人たちの資源が広島のデザイナーの仕事と交わり、フェアトレード価格で売っていけるようなことを目指したい。

 ―学生へのアドバイスをお願いします。
 やりたいこと、興味があることには絶対に挑戦してほしい。私もやりたかったことを我慢せずにやって良かった。一回きりの人生。ここぞと言うときは強く主張してほしい。遠慮せず、周りの目を気にせずにやってほしい。

▽ごらい・ちづる 短大卒業後、教科書出版社に就職。出産のため退職して6年間、専業主婦。企画会社に勤務した後、1999年に独立。交流会や共同オフィスを設立後、2002年にソアラサービスの前身となるSOHO総研を設立。全国イノベーション推進機関ネットワーク堀場雅夫賞(20年)などを受賞。岩国市出身。

▽ソアラサービス 本社は広島市中区。2002年にSOHO総研として設立。09年に増資し、社名変更した。起業家向けシェアオフィスの運営や、地場企業とクリエーターを結びつけた商品開発、創業支援事業を手掛ける。従業員数11人(21年3月現在)。

▽インタビューを終えて

 県立広島大1年・松原歩花(19)
 観光客が減っている今だからこそ、ネットを使ったプロジェクトを発案するなど、誰かのために何かをしたいという行動力に感銘を受けた。私は今まで目標を達成できないと思ったら、すぐに諦めていた。今後は一つの視点にこだわらず、柔軟に物事を考えて自分の目標に近づいていきたい。

 広島工業大2年・本間宙峰(21)
 「仕事には下心があっていい。自分が楽しいと思うことが必要」と言われ、はっとさせられた。目の前の問題の解決法を考えるときには「こうしたい」という自分の意志を持つことが大切なのだと思う。私も自分の意志を持ち、周りの目を気にせずにやりたいことをやってみようと思った。

 安田女子大2年・形山羽奈(20)
 子育てと仕事を両立しながら自分の生き方を全うする牛来社長の姿は、今を生き抜く強い女性を象徴していると感じた。取材を終えた直後、ソアラサービスが手掛けた鶴のピアスを県立美術館で見つけた。来館者が手に取っている様子を見て、同社の思いが世界に広がることを思い描いた。

 広島市立大3年・神津圭佑(21)
 自分がしたいことは人の目を気にしない。やるべき時は、人に流されず強く意見を言う―。僕自身が流されやすい性格なので、牛来社長の強い姿勢に憧れた。4月には大学の最終学年を迎える。牛来社長のように、今できることを考え、悔いの残らないように挑戦し続けたい。

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