リポーター発

トルコ

冬支度 近所で助け合い

2013/12/11

 トルコの内陸部に位置するコンヤ県のベイシェヒールという街に8月下旬、立ち寄り、同国の保存食文化を垣間見た。
 街には、世界遺産に登録された歴史あるイスラム寺院がある。周囲には古い集落があり、保存区域にもなっている。昼時に、そこを散策しながら、とある家の前を通りかかると、風に揺れる白いカーテンの向こうから女性たちのにぎやかな声が聞こえてきた。
 尋ねてみたら「今、冬用の手打ち麺を作ってるのよ」との答えが返ってきた。5人の女性が床に腰を下ろして作業していた。
 話を伺うと、どうやらその家の姉妹と近所の人たちのようだ。持ち回りの共同作業で、順番に各家庭で手伝っているのだという。
 トルコの内陸は乾燥して暑いが、小麦を育てるのに適した気候と土壌がある。そのため、冬の保存食でも、小麦を使った手打ち麺が重宝されている。毎年この時期に、冬支度として作られるそうだ。
 麺の生地はすでに打ってあり、麺棒で平らに延ばす人、それを切って細い麺にする人、2センチ角程度に四角く切る人、それらを別室で乾燥させる人がいた。女性の一人が「冬の保存食はたくさん種類があるから、みんなで手分けして作業するのよ」と説明してくれた。
 麺はスープに加えたり、バターで炒めたりして食べるそうだ。おいしさももちろんだが、乾燥麺の食材は経済的にも家庭の助けになるからだ。
 ただ、一冬が越せる量を作るには、人手が必要となる。トルコでは共同作業を「イメジェ」と呼び、地域の人同士で助け合って生活しているのだ。食を中心に人が集まり、人の絆が築かれていくのだろうと感じた。
 日本でも、手作業で田植えをしていた頃には、「ゆい」または「呼び戻し」と呼ばれる助け合い制度があったそうだ。近所同士で順番に田植えを手伝うなど、当時は、共同作業がまだ多く残っていた。
 日本と違い、トルコでは、まだまだ近所付き合いや助け合い精神も根強く続いている。おしゃべりしながら和気あいあいとした彼女らの時間は、客観的に見るだけでも何かうらやましく思えてしまう。(岡崎伸也=コンヤ在住)
 おかざき・しんや 益田市出身。トルコ料理探求家。奈良大在学中、トルコに興味を持ち、研究を始める。2009年からトルコ全土を旅しながら、食文化を探求し続けている。現在インターネットなどで発信している。


この記事に対するコメント
一覧

  • コメントはありません

  • この記事にコメントするへ
  • 前の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧