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【サンポール(広島市中区)社長 山根以久子さん】技術生かし人々を笑顔に

2021/8/25
山根社長(右端)にインタビューをする左から樋口さん、江木さん、市川さん、則宗さん

山根社長(右端)にインタビューをする左から樋口さん、江木さん、市川さん、則宗さん

 車の進入を防ぐ車止めや、国旗や社旗などを掲げるポールの最大手・サンポール(広島市中区)。ポールの製造技術を生かし、駐車場ゲートやベンチなどの環境エクステリア製品にも分野を広げている。専業主婦を経て2006年に社長に就任した山根以久子社長(65)に、事業への思いや学生へのアドバイスを聞いた。
(聞き手は、広島修道大・樋口慧、市川愛実、広島市立大・則宗菜月、安田女子大・江木桃花)

 ―専業主婦から社長に転身したのですね。
 長年社長を務めた父が2002年に亡くなり、その後、なかなかうまく回らず私に話が来た。経営に関わる気はもともとなかったが、父が会社を大切に育ててきたのを見てきたし、社員もいる。「私は知らない」と放っておくことができなかった。
 私は大学卒業後に結婚して主婦になったので、初めての「就職先」がサンポール。初めは何も分からなかった。財務や経営、社長って何をしたらいいのか…。当時は女性社長も多くなかったので、手本もいなかった。セミナーに行って勉強するなど自分なりには一生懸命だったが、5年くらいは頑張っても先が見えない時期が続いた。
 そんな中、経営者の友人に誘われ、経営などについて勉強をする8カ月間ほどのセミナーに参加した。本を読んだりディスカッションしたり…。それが終わったとき、天から降りてきたように覚悟ができた。自分が目指したい会社像というのができたんだと思う。それまでは「売り上げを上げることが仕事だ」と言われていたが、私はそのためだけには頑張れない。でも「社員の幸せのためになら私も頑張れるかもしれない」と思えた。

 ―御社の強みは。
 父たちが築いてくれた基礎があり、安定感と信頼があることだ。代理店や販売店が直接の顧客だが、社員にはニーズに丁寧に応える習慣が根付いている。扱う商品は、大量でなければ当日受注・当日出荷が原則。納期を守ることはもちろん、急に注文の品が変わることがあっても対応するなど、社員は必死にやってくれている。
 私は、取引をする代理店や販売店だけでなく、その先の社会にいる人たちも見て商品を考えていく必要があると思っている。今後は旗ポールや車止めだけでなく、もっと総合的に人々を笑顔にするまちづくりに関わる会社にしていきたい。他社とのコラボレーションも進め、新しい発想の商品作りに力を入れたい。

 ―社長として大切にしていることは何ですか。
 社員が幸せであること。社員一人一人を知ることを重視している。それぞれの誕生日には手書きのはがきを送っている。お祝いや香典を社から渡すと、直接お礼を言いに来てくれる社員もいる。私にとっては社員は家族。家族を守るのと会社を守るのは同じ事だと思っている。
 昨年の創業50周年に合わせ、「レッツ・スマイル!」を企業理念に盛り込んだ。自ら考えて働きかけ、笑顔の輪を広げましょうということ。社員には、言われた仕事をやっておけばいいと思わず、自分で考えて発案していってもらいたい。

 ―学生へのアドバイスをお願いします。
 私は大学生のとき、クラブ活動のオーケストラに夢中になった。皆さんも、自分が夢中になれることを一生懸命やってほしい。それによって感性が磨かれる。目に見えない中身の部分を大切にしていってほしい。

▽やまね・いくこ 大阪女子大(現大阪府立大)社会福祉学科卒。結婚を機に専業主婦となった。社長を務めた父・朗さんが2002年に亡くなり、06年から現職。出雲市出身。

▽サンポール 本社は広島市中区。1970年、旗ポールの製造販売で創業。80年代に車止めの製造を始め、事業を拡大した。2020年9月期の売上高は47億3700万円。従業員数190人(21年7月現在)。

▽インタビューを終えて

 広島修道大2年・樋口慧(19)
 主婦として家庭を支えてきた女性が急に企業の社長になって指揮を執るということは簡単ではないと思う。山根社長にとって企業を守ることと家庭を守ることは変わらないと聞き、社長の人柄が会社をアットホームな雰囲気にして、成長させているのだと感じた。

 広島市立大3年・則宗菜月(20)
 山根社長は温かい人柄で、それがサンポールの信頼につながっているのだと思った。専業主婦経験が長かった山根社長だからこそ、社員の幸せを考えるという理念を実現できたのだろう。企業にとって「人の温かさ」は重要な要素だと感じた。

 広島修道大3年・市川愛実(21)
 「専業主婦と社長」。取材前は共通点が分からなかったが、考えを覆された。社長のところには「話を聞いてほしい」と社員が集まると聞き、その様子を想像すると温かい家庭が思い浮かぶ。「社員は家族のような存在」という社長の優しい視線が印象的だった。

 安田女子大4年・江木桃花(22)
 取材前は緊張していたが、山根社長の優しい雰囲気のおかげで、落ち着いて質問することができた。やることすべてに意味があると話した社長の姿が印象的だった。来年から社会人になるので社長のように、私もしっかりとした軸を持って働きたいと思った。

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