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【小田億(広島市西区)社長 小田基治さん】気流に乗る勇気 経営でも

2021/10/27
小田社長(右端)にインタビューする、左から中田さん、後河内さん、石原さん、松原さん

小田社長(右端)にインタビューする、左から中田さん、後河内さん、石原さん、松原さん

 小田億(広島市西区)は家具やインテリア用品などを販売し、製造や卸も手掛ける。創業以来、長く使える良質な商品の提供を心掛け、経営してきた。新型コロナウイルス禍の中では、ネット販売にも力を入れて販路を広げている。小田基治社長(65)に学生時代の学びや会社運営の考え、学生へのアドバイスを聞いた。
(聞き手は、広島市立大・後河内楓、広島国際大・石原貴子、県立広島大・松原歩花、安田女子大・中田裕奈)

 ―学生時代、どんなことに力を入れましたか。
 長くやってきたのは飛行機やグライダー。父がこの世界では有名な人で教官の資格もあって、物心ついたら一緒に空を飛んでいた。そんな父に教わって14歳で単独飛行し、それは今も日本最年少の記録。グライダーの日本選手権優勝、世界選手権3位、いろんな経験をさせてもらった。

 ―当時頑張ったことは、今の仕事でどう生きていますか。
 グライダーは紙飛行機と同じで自力では上昇できない。見つけた上昇気流をエネルギーに使い、高度を取りながら前進する。悪い時は上昇気流がなく下降気流ばかり。そんな時ほど、速度を出さないといけない。悪い所を過ぎると上昇気流があって落ち着く。ただ、そこでとどまると、置いてけぼりになる。いい時も決して気を抜かず次へ行き、悪い時は突っ切る勇気がいる。経営も同じ。悪い時こそチャンスで、何か始めるたり投資したりする。いい時も良しとせず、次を考えないと。

 ―他にも学びはありましたか。
 イタリアであった世界選手権が忘れられない。山岳地帯で気流が悪かった時、なんで自分はこんなに苦労しないといけないのかと思った。諦めると死ぬ。操縦かんを放り出したくなる。父や母の顔が浮かんだ。私はわがままで何でも言うことを聞いてもらい、親のせいにする癖が付いていた。でも、上空では誰も頼れない。誰かのせいにして逃れてきたことに気付いた。親のおかげを実感し、逆境でも諦めないことを学んだ。

 ―この会社の特徴は。
 創業のエピソードを紹介したい。父が西ドイツ(現在のドイツ)でグライダーの世界選手権に出場した際、エルベ川のほとりに不時着した。その時、近くの農家が家に迎えて食事をごちそうしてくれた。そこで見た家具に感動したのが始まり。現地では家具がおじいさんから孫まで代々受け継がれている。長く使える、いい家具を原爆で焼けた広島の町でも提供したいと父は考えた。それが家具販売の基本理念。今も、バイヤーがその考えを踏襲し、長く使える点を最優先に仕入れている。

 ―ネットや、リモート販売ではどんなことに気を使っていますか。
 スタッフがスマートフォンで店内を中継しながら、商品を提案、販売する試みもした。バーチャルとリアルショップの融合。お客さんに喜んでもらえた。ネットショップはリアルと違って、商品名を検索すると一瞬で最も安い商品が見つけられる。価格で負けたら売れない。お客さんは買ったら早く欲しいので、翌日に届くかどうかも勝負になる。消費の形態に柔軟に合わせていかないと、リアルだけにこだわっていては時代に取り残される。さまざまなものにチャレンジしたい。

 ―学生へのアドバイスをください。
 社会に出ると、自立がより求められる。前進していく勇気が重要だと思う。いい時は悪い時に備え、気を抜かず浮かれ過ぎない。人生で、禍福はあざなえる縄のごとし。表裏は入れ替わる。厳しい時も立ち止まらない。企業なら投資、個人なら自分を磨き直す時期なのかもしれない。

▽おだ・もとはる 武蔵野美術大卒。1978年9月に小田億に入社。常務、専務などを経て97年から現職。IT事業の関連会社ソフネットジャパン(広島市西区)の社長も務めている。広島市西区出身。

▽小田億 本社は広島市西区。1913年、木材商として創業。64年に家具の販売を始めた。「小田億ファインズ」の名で横川本店と廿日市店(廿日市市)を置く。2021年7月期の売上高は19億2千万円。従業員数は103人(7月現在)。

▽インタビューを終えて

 広島市立大3年・後河内楓(20)
 小田社長は、会社経営と関係なく見える空での経験を仕事に生かし、いろんな取り組みをしている。その柔軟さを知り、小田億が広島市民から愛されてきた理由が分かった。特に、「前進する力」は今の私たちにも必要。常に進んでいく勇気を持つべきだと感じた。

 広島国際大2年・石原貴子(20)
 こうしたリポート体験は初めてでとても緊張した。取材する相手の目を見て質問し、しっかり聞くことを実践した。小田社長もこちらを見て話をしてくれ、コミュニケーションをうまく取れた。名刺を受け取る動作など、ビジネスマナーも学ぶ良い経験になった。

 県立広島大2年・松原歩花(20)
 今後の生き方についても勉強になった。印象に残った小田社長の言葉は「前進する勇気を持つ」。私自身、良い時も悪い時も今の状況が変わることを恐れて、あまり挑戦をしてこなかった。これからは、どんな状況下でも新しいことにチャレンジしていきたい。

 安田女子大1年・中田裕奈(19)
 グライダーで空を飛ぶのと同じように、経営者として同じ場所にとどまることはリスクがあると小田社長から聞いた。後悔しない学生時代を送ってこられたとも感じた。私も、学生時代に悔いを残さぬよう、つらい時も立ち止まらず挑戦し続けようと思う。

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