リポーター発

フランス

お役所で滞在許可申請 イライラ・・・  マリエ悦木嘉子

2013/6/6

 嫌な時期がやって来た。フランス人と結婚して同国に住んで4年目。日本国籍のままなので、年1回の滞在許可証の更新が必要なのだ。この手続きが、申請者のマナー違反に加えて受付窓口の「お役所仕事」にいら立ちが募る。言葉もだいぶ覚えてフランスの日常生活に相当溶け込んできたと思う。でもこの時だけは自分が外国人だということを思い知らされる。

 滞在許可があと2週間で切れる5月中旬、私の住むオルレアン市にあるロワレ県庁へ更新に行った。窓口は月〜金曜日に開かれているが、毎日50人で手続きが打ち切られる。そのため、県庁の始業時間の2時間前、午前7時には出向いた。

 最近の気候は春と冬が行ったり来たり。あいにくこの日は冬並みの寒さ。私が県庁に着いたときは既に20人以上の人が、震えながら待っていた。知人に聞いたところ、パリなどの都会では、徹夜組もいて遅くても午前5時に行くのが当たり前だそうだ。

列を作らず、県庁が開くのを待っている人々

列を作らず、県庁が開くのを待っている人々

 日本人の感覚だと、窓口では順番の列をつくる。フランスでは、いろいろな国の移民が集まっているので、そういった常識はなく、それぞれがバラバラに待つ。案の定、窓口が開くと同時に、多くの人たちが殺到した。
 
 加えて、知人や家族のぶんまで複数の番号札を複数とる人も。マナーもなにもあったもんじゃーない。50番以内の最初の難関を突破して35番の番号札を手に入れた。ちなみに友人は、7時に出向いたにもかかわらず、2度も50番以内のチケットを取ることに失敗したそうだ。

県庁の中は人がいっぱい

県庁の中は人がいっぱい

 次の難関は受付窓口。6カ所あるが、開いているのは半分の3カ所。しかもなぜか、職員が席をよく空けるので業務をしているのは1カ所しかない時も。職員の都合により開閉し、長時間待たせるという典型的な「お役所仕事」なのだ。結局、私が窓口職員に呼ばれたのは午後1時すぎだった。

 そして、申請も煩雑を極める。フランス人と結婚した場合には、配偶者と一緒に行くことが義務付けられている。必要な書類は、家賃や光熱費の支払い証明書、結婚証明書、パスポートなど10件以上にのぼり、全てオリジナルとコピーを用意しなければならない。

 書類がきちんとそろっていても、すぐに正式な滞在許可証がもらえるわけではなく、その場で受け取れるのは「レセピセ」と呼ばれる期限4カ月の仮の滞在許可証。正式な滞在許可証ができたら交換してもらえるのだが、前回は4カ月以内に許可証が出来上がらなかったので「レセピセ」の更新をさせられた。

 正式な滞在許可証を受け取ったら、その日から1年間の期限かと思いきや、もともとの滞在許可証の期限が切れた日から1年間なのである。結局、滞在許可証を受け取って、数カ月後には次の滞在許可証の申請をすることになった。

 ことしは結婚して4年目を迎えるため、10年間の滞在許可証がもらえるかもしれない―と友人に聞いた。県庁の職員に確かめると「何とも言えない。明確な基準はない」そうである。日本では考えられないことである。今、「レセピセ」を受け取り、ひたすら10年間の滞在許可証を待っているところだ。

 フランス人と結婚したのだから、フランス国籍を取得できる。しかし、フランス国籍を取ったら自動的に日本国籍は消失する。たった1人の頼りになる夫がもし亡くなったら…、幼い娘を連れてフランスに永住することになる。両親や兄弟、親類のいる日本の国籍は手放せないのである。 (オルレアン在住)

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