リポーター発

インド

若者に育つ「平和の種」

2014/5/19
朗読に聞き入るインドの高校生

朗読に聞き入るインドの高校生

インド

 昨年、広島市西区出身の漫画家こうの史代さんの作品「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」をヒンディー語に訳し、インドで出版しました。3年前には故丸木俊さんの絵本「ひろしまのピカ」も翻訳しました。いずれも原爆投下直後の惨状と、いまなお続く放射線の影響、平穏な日常の大切さを訴えています。
 この2冊を使い、首都ニューデリーの国際交流基金ニューデリー日本文化センターで、地元の高校生を対象に朗読イベントを開きました。核兵器を保有するインドの若者たちに、原爆がもたらした悲しみを胸に刻んでほしいと思ったからです。4校から計200人が参加しました。
 まずは、被害について説明しました。「ひろしまの―」の朗読を始めると、みんな真剣なまなざしで聞き入っていました。
 「夕凪―」では、インドの俳優に依頼して朗読劇を披露。ストーリーに引き込まれ、身を乗り出す生徒もいました。そのヒンディー語版の漫画を読んでもらいました。インドの漫画は文字数が少なく、大人が楽しめるような漫画はほとんどありません。指で文字を追いながら夢中になっていました。
 最後に感想を提出してもらいました。原爆投下の日時を何度も確認し、中には1枚で収まらず、2枚目を書く生徒も。「自分が漫画の登場人物だったら―」「当時、広島にいたら―」と、身近なことに置き換えて理解しようとする姿勢が見受けられました。
 内容で目立ったのは、@核兵器の製造禁止の法律をつくるべきだA原爆の悲劇を多くの人に、次の世代に伝えなければならないB全世界から原爆をなくすために頑張りたい―など。二つの作品が発した平和へのメッセージは、しっかりと届いたようです。
 感想は文集にまとめ、各校に贈ります。インドで暮らし始めて22年。若者たちの心の平和の種が大きく育つことを願いながら、これからも同様の活動を続けていきます。(菊池智子=ニューデリー在住)

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