リポーター発

トルコ

会話のお伴 名物保存食

2014/12/12
タルハナを天日で乾燥させる女性

タルハナを天日で乾燥させる女性

 8月下旬、トルコ内陸部のコンヤ県にあるベイシェヒールという町を訪れた。タルハナと呼ばれる名物の保存食があり、冬に向けた仕込みの真っ最中と聞いたからだ。起源は約450年前のオスマン帝国時代。兵隊がエジプト遠征する際、栄養価が高い保存食として発案されたと伝わる。
 住宅地を歩いていると、直径1メートルほどの大鍋の周りに数人の女性が集まっていた。ちょうどタルハナを作り始めるところで、大鍋にヨーグルトを入れて薪に火を付けた。沸騰する直前にひき割り小麦を加え、かき混ぜながら練り上げる。
 練りながら加熱し、おかゆのような状態になったところで火を止める。女性たちが「調理するときにだけ食べられる熱々のタルハナよ」と、バターを添えた皿を手渡してくれた。
 小麦のプチプチとした食感と、ヨーグルトの酸味が利いた濃厚なチーズのような味が楽しめる。「チーズかゆ」と言ってもいいだろう。翌日には乾燥させるので、熱々を食べられるのはきょうだけ。ふと、私が幼いころ、曽祖母が豆腐を作りながら熱々の豆乳に砂糖を入れて飲んでいたことを思い出した。
 翌日は早朝から作業が始まった。女性たちが前日作ったタルハナを野球ボール大に丸めた後、手のひらサイズまで広げる。よしずの上に並べ、天日で2、3日乾燥させれば出来上がり。
 乾燥したタルハナは長期間保存できる。水に浸して軟らかくし、溶かしてスープとして食べるのが主流という。農繁期には家に帰る手間を省くため、ポケットに入れた乾燥タルハナとクルミを食べる。腹もちがいいという。
 冬の夜長には、おしゃべり好きなトルコ人に欠かせないおつまみにもなる。来客があると、油で揚げたりストーブの上で焼いたりしてクラッカー状にし、クルミやピーナツと一緒に食べるそうだ。
 タルハナはこの地域に残る食文化の風物詩。約千枚がずらりと並ぶ光景は圧巻だ。みんなで協力して作ったタルハナは今後1年間、食卓を彩る。タルハナを通じ、人と人が共存しているのは興味深いとつくづく感じた。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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