リポーター発

トルコ

ブドウを煮詰めて保存食

2014/12/12
庭先でペクメズを煮詰めている男性

庭先でペクメズを煮詰めている男性

 9月中旬、トルコ中央部に位置する世界遺産、カッパドキアを訪れた。長きにわたる浸食でできた壮大な奇岩地帯で、ブドウの産地としても有名だ。この時季は保存食の一つ、ぶどう果汁を煮詰めてシロップ状にした「ペクメズ」作りが最盛期と聞き、知人のフセインさんの故郷イェシルオズ村へ向かった。
 村に着くと、ペクメズ作りが始まっていた。朝摘み取ったブドウを袋に詰め、男性たちが足で踏みながら果汁を搾っていた。既に大鍋に何杯もたまっていたので、かなりの量を搾ったのだろう。
 この果汁でペクメズを作る。おいしさの秘密は、ブドウの酸を中和させて甘さを増すこと。大鍋にたっぷり入った果汁に、何と白い土を加えた。すると一瞬にして泡が立ち、鍋からあふれそうになった。泡を手で優しくなでて発酵を促す。
 1時間もたつと果汁は透明になり土は沈殿する。果汁の上澄みを鍋に移して3時間焦がさないよう煮詰めると、透明で黒光りした濃厚なシロップができる。ずしっとくる甘さと香ばしさが一体となっている。西洋カリンをペクメズで煮たジャムも作られる。
 ペクメズはパンを浸して食べるのが一般的。風邪をひいて喉が痛くなったら、薬代わりになめるそうだ。フセインさんは「幼いころは、山に残った雪にかけてかき氷にしていたよ」と懐かしんでいた。
 作業が一段落すると、食事をごちそうになることに。大鍋を温めた炭火も無駄にしないよう、ジャガイモを焼き、素焼きの鍋にインゲン豆を入れて、弱火でじっくりと煮込んだ。どちらもほっくりとした食感がいい。
 カッパドキアは観光地化され、多くのホテルが立ち並ぶ。村の生活はそのすぐ隣にある。煙が立ち上っているのが見える日は、きっと村人がペクメズ作りに精を出しているに違いない。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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