リポーター発

トルコ

愛され続ける郷土パイ

2014/12/12
西洋ネギ入りのラクヌルを作る女性

西洋ネギ入りのラクヌルを作る女性

 トルコの黒海地方中部のサムスン県にバフラという町がある。オスマン帝国の衰退時、バルカン半島のコソボから多くのトルコ系アルバニア人が移り住み、食文化に影響を与えた。現地のアルバニア人協会会長のセバハッティンさんに、アルバニアの料理を食べたいとお願いしたところ、快諾してもらえた。
 翌日、セバハッティンさんの奥さんの実家があるエセンテペ村を訪れることになった。親戚や近所の人も集まり、重ね焼きのパン(現地名フリヤ)と西洋ネギのパイ(同ラクヌル)、鶏肉のピラフ(同ミショレズ)の3種類。特にパイはアルバニア人の食文化で重要な位置を占め、種類が豊富だという。
 ラクヌルの中でも、アルバニア人は西洋ネギ入りが大好物だという。小麦粉と塩、水だけで練った生地を2枚作って広げる。トレーに1枚敷き、その上に小口切りした西洋ネギとカイマックと呼ばれる牛の乳脂肪を混ぜた具を敷き詰める。このカイマックのうま味はパイを作る上で欠かせないそうだ。
 もう1枚の生地を上からかぶせ、縁を編み込むように包んでいく。最後にもう一度表面にカイマックを塗り、オーブンで30分ほど焼き上げた。
 女性たちは「ラクヌルを作るときは、米国にいる親戚たちも帰って来る。そこまで愛されている」と話す。年配の人の中には、アルバニア語しか話せないという方もいて、移民の歴史がまだ浅いことを知らされた。一方で、近代トルコの食文化との融合により、アルバニアから移住した人々の文化が失われつつもあるようだ。
 今回訪ねた家の若い娘さんは、既に母親から調理の仕方を教わっているようだった。世代が変わっても、愛され続ける食べ物があることを知り、うれしく思った。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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