リポーター発

トルコ

羊串焼き 好みの辛さに

2015/1/21
アダナケバブを焼く職人

アダナケバブを焼く職人

 トルコ南部の都市アダナに「アダナケバブ」と呼ばれる名物料理がある。鉄の平串に羊のひき肉を張り付け、炭火で焼く。トルコのグリルレストランでこの料理を出さない店はないほど有名で、到着してすぐ、街角や裏路地で煙が立ち込めている光景を見た。ケバブを焼く煙を浴び、服が一瞬にして肉の香りを吸った。「肉を愛する街に来たのだな」と実感した。
 アダナの職人は肉の状態や質に非常に詳しい。煙の色で、肉がどんな状態にあるか分かるという。アダナケバブには生後約1年の雄羊を使う。あばら骨周辺や尾の脂身を肉に加え、赤唐辛子と塩を振って両手包丁で細かくひく。機械は使わない。仕上げに生の唐辛子を入れて色合いとうま味、辛味を調整する。一晩寝かすのがおいしくなるこつだ。
 職人は炭火で焼く際、焼き過ぎに注意し、表面に出てくる脂を無駄なく「ピデ」と呼ばれるパンに擦り付けていく。1人前は110〜120グラム程度で、量や辛さの調節もできる。現地では、刻みパセリとニンニク入りの「ベイティ」という裏メニューが人気だ。薄くてもっちりとした食感のピデに、アダナケバブを巻いた「ドゥルム」と呼ばれるロールサンドやレバーなどの臓器の串焼きも注文できる。
 アダナケバブには、シソに似た香辛料と合わせたオニオンスライスやパセリ、ミント、カブ、トマトサラダも付く。脂を塗ったピデをちぎって、肉と野菜を巻いて食べる。赤カブのジュース「シャルガム」か、ヨーグルトドリンクの「アイラン」と一緒に食べるのが一般的だ。
 多くの野菜と一緒に肉を食べるので、栄養のバランスもよい。羊肉はうま味や辛さが強くて臭みは感じない。スパイシーで食欲も増し、不思議なことに胃もたれもしにくい。何度も店に通い、量や辛さを変えながら自分に合った食べ方を探すのも楽しみの一つ。本場でしか味わえない味がこの街にはあった。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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