リポーター発

トルコ

トルコ ガチョウ料理で結ぶ人々の絆

2015/4/8

 黒海中央部サムスン県の内陸部にあるハウザは温泉で有名な場所。夏に訪れた時、ハウザ市長の秘書をしているオスマンさんと出会った。「ここには名物のガチョウ料理があるけど、旬は冬だから、その時季にぜひ君を招待したい」と言ってくれた。
 この地域では“耳たぶに雪が落ちる頃がガチョウの季節の始まり”という。ガチョウが卵を産む12月中旬から2月中旬までの約2カ月間がその時季にあたる。寒さが厳しい中、産卵するため脂を体内に蓄積するのでおいしくなるという。
 1月中旬、市の関係者が集まり、ガチョウのティリットを食べる親睦会があり、参加させていただいた。部屋の一角にある暖炉でまきが燃やされ、その前には羽根をむしって処理されたガチョウがつるされていた。竹の竿(さお)の先でくるくる回しながら表面をあぶっている。
 その下にはお盆が置かれ、ガチョウの脂がぽたぽたと滴り落ちていた。時に脂を木のスプーンですくっては皮の表面に流す。そうすることで、皮をカリカリに、中の肉を柔らかくするのだという。焼き上がると別の担当者が肉をほぐす。こっそりと一番おいしい皮を手渡してくれたので一足早く味見した。
 ユフカと呼ばれる薄焼きパンが何枚も用意され、ガチョウから出た脂を塗って染み込ませる。ひき割り小麦はピラフにして、仕上げに脂を混ぜ込む。脂をしみ込ませるのがティリットという料理の醍醐味(だいごみ)だ。
 70センチほどのお盆の中央にピラフがどっさり盛られ、その周りにユフカが、ピラフの上にガチョウの肉が敷き詰められる。ユフカを取り、ピラフと肉を巻いて口に運ぶ。ピラフがポロポロ落ちてもお構いなしだ。ガチョウの脂は鶏よりコクがあり濃厚だ。体を温める効能もあり、寒い地域では理にかなっている。
 ハウザでは年に一度、同郷者が集い、ティリットを食べながら一夜を楽しむ「ガチョウのティリットの夕べ」が開かれる。村でも各戸で飼っているガチョウを月に数度、持ち回りで提供し、ティリットを作っているという。旬のティリットは食を楽しむだけでなく、人とのつながりにも一役買っているようだ。(岡崎伸也=コンヤ在住)

食前のお祈りが終わると、みんなの手が一斉にティリットに伸びる

食前のお祈りが終わると、みんなの手が一斉にティリットに伸びる

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