リポーター発

カンボジア

地域で働く“誇り”

2013/10/21

休日が多いカンボジアの10月。どのぐらい多いの? と、数えてみました。なんと、合計12日。月の3分の1が休みということになります。
 休みの大半を占めるのが「プチュンバン」休日。日本でいうお盆です。日本では盆休みに旅行に行く人も増えてきましたが、カンボジアでは実家に戻る、というのが基本です。
 家族と寺に出掛け、ご先祖様の供養をし、近況を報告し合います。そして、バナナの皮の上にもち米、甘く味付けされた白豆を敷きます。その上に、バナナもしくは豚肉を具として並べ、のり巻きのように巻いて蒸し上げた物を食べます。
 私の仕事は日本でもカンボジアでも、地域に根ざした地元の仕事づくり。ライフワークと考えていますので、電気のないような田舎にも、どんどん入っていきます。
 日本では、「精神的な豊かさの価値」を求めて田舎回帰する若者がいます。でもカンボジアは今まさに発展途上中。多くの若者が「金の豊かさという価値」にひかれ、首都プノンペンや隣国のタイなどに働きに出て行ってしまいます。
 村で「誇りを持って地域のために働く」ことを教える難しさは、プチュンバン休日で、出稼ぎの若者が田舎に大量に戻って来る時に実感します。
 村の若者にとって、都会から戻った友達はあか抜けて、たいそう輝いて見えるのでしょう。そんな友達が「オレが働いているところは金がいいぜ。おまえも来いよ」とささやいたら、どうでしょう。突然、周りの制止も聞かずに、都会に飛び出してしまいます。
 村では今、収穫するだけで出荷されていたカシューナッツの加工に取り組んでいます。商品化して、村のカフェで販売する試みです。カシューナッツプロジェクトと呼ばれ、市場に出せるレベルにまで達することができました。

電気がなく不自由だけど、美しい自然に囲まれた村の仲間と、ようやく完成させたカシューナッツ。一粒一粒は、地域で働くことの「誇りの結晶」ですし、私の希望にもなっています。
 村の若者に「人生の価値はお金だけで測るものではない」ことを実践し、見せていきたい。そんな私のアジアでの挑戦は、まだまだ続きます。(山根多恵=プノンペン在住)
    ◇
 やまね・たえ 下松市出身。山口大卒業後、大阪で起業支援センターの責任者を務めた後、2005年、後継者がいなかった大田市温泉津町の老舗旅館のおかみに。11年、プノンペンに移住しコミュニティービジネスを起業。

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