リポーター発

オーストリア

オーストリア ペダルこぐ 畑の一本道

2015/4/27

 チューリップやスイセンに続き、庭にあるサクランボの花が満開となった。芝生は緑色を増し、タンポポの綿毛が舞い、コマドリのさえずりが聞こえ始める。いよいよ春本番だ。
 とはいえ、日中は20度を超える陽気でも、日が陰ると肌寒いし、日没後は零度近くになることもある。まだまだ、スカーフやジャケットなどの防寒具は手放せないのが、オーストリアの4月である。この時期、カフェやレストランは一斉にテラス席を設ける。中庭や店舗前などの屋外席で、朝からサングラスをかけて、日光浴がてらコーヒータイムを楽しむ人も多い。
 私が暮らすここグラーツ郊外には広大な畑が点在し、トウモロコシや麦、カボチャなどが栽培されている。果樹農家も多い。とりわけリンゴの自給率は90%以上で耕作地は約6500fもある。その大部分がここオーストリア南部にあることはよく知られている。
 そんな牧歌的な風景に囲まれたわが家は、自然を楽しむために、わざわざ車に乗る必要がない。家の門を出れば、目の前には牛の飼料になる草花が茂る野原が広がり、少し歩けば小川に行き当たる。さらに行くと車両進入禁止のサイクリングロードが設けてある。
 冬場は散歩しかしていなかったが、ここ最近はこの道を通ってサイクリングすることが増えつつある。平日、幼稚園から子どもが帰って昼食と休憩を取った後、ようやく補助輪が取れた次女は自転車、長女はお気に入りのキックスクーター、私はマウンテンバイクで出発するこのごろだ。
 直線が続き、終わりの見えない一本道を行けばいろいろな人に出会う。本格的なロードレース用の自転車や愛犬と走る人がいれば、のんびり1人で歩く姿も。ベビーカーを押しながら散歩したり、ポールを2本持ってノルディックウオーキングを楽しんだりとスタイルもさまざま。道中の所々の木陰にベンチがあるので、疲れたら大地と空を眺めながら休めばいい。
 常に車に気を使わなければいけない、車道の添え物のような道ではなく、本当に心地よく散歩したり、自転車に乗ったりできる場所が身近にある。ここでの暮らしの中でとても気に入っていることの一つだ。いつか家族で遠出し、湖畔のサイクリングなどに挑戦できたら、と思う。(プーセンプ麻衣=リーボッホ在住)

畑に囲まれたサイクリングロード。遠く前方にアルプスの山々が見える

畑に囲まれたサイクリングロード。遠く前方にアルプスの山々が見える

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