リポーター発

トルコ

トルコ・かむとガムになる樹液

2015/5/27

 トルコを旅していて、興味深い発見の一つに天然のチューインガムがある。日本でガムといえば、工場製品が一般的だし、私も幼少時代から親しんできた。しかし、トルコでは自然の物からガムができると初めて知り、衝撃を受けたことを思い出す。
 それは黒海東部にあるアルトビン県のシャウシャットで、偶然、知り合った青年がぜひ案内したいと誘ってくれた時のこと。彼は山の中で車を止めると、道路脇に生えている松の樹液をペンチで取り「これはチャム・サクズ(松やにのガム)。かむとガムになるよ」と差し出してくれた。
 一見すると、クリスタル状の、べっ甲色で硬い。口に入れると確かに松やにの匂いがした。ところが、しばらくすると軟らかくなってかめるようになる。不思議な事に、やにの匂いも徐々に薄れ、弾力が増してきた。色も紫へ変わっていく。
 食後に食べると、胃に優しく、ガスを出してくれる効果があるそうだ。トルコには「チャム・サクズは羊飼いからの小さなプレゼント」という言葉がある。ささいなものだが、できる限りの心のこもった贈り物という意味だ。小さな1粒のサクズだが、とても思い出に残る出来事となった。
 また東部のマラトヤ県では、ケンゲル・サクズと呼ばれるアザミの種のガムが道端で売られていた。とげのあるアザミの根を切ると中から白い液体が出るので、それを平らにのばして乾燥させる。そしてぐるぐると葉巻状に巻いて完成だ。
 ただ、手間がかかる作業なので1キロで約1万円と高価。かんでも味も香りもしない、ただただ硬い。30分もすれば少しはなじんでくるが、やはり単にゴムをかんでいるかのよう。屋台のおじさんは「1時間ほどかんで、水を飲んだら、喉をすーっと流れていく感触が味わえる。その時に、この良さも分かるのさ」とすまし顔だった。
 結局その良さを実感する域に達しなかったのが残念だった。念のため、このガムもチャム・サクズ同様、胃腸によいし、歯や歯肉の痛みに効果があることをお知らせしておく。まだまだ自分の知らない世界があると痛感したと同時に、天然のチューインガムの存在を知ったことがうれしく思えた。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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