リポーター発

オーストリア

オーストリア・おにぎり作り 園児夢中

2015/5/27

 娘たちが通う幼稚園では「Jause(ヤウゼ)」と呼ばれる軽食の時間がある。月に1度、近隣の農家から仕入れた食材を使った料理をビュッフェ形式で園が用意する。先日、担任の先生から、そのビュッフェ用に日本食を作ってほしいと依頼された。
 州都グラーツとは異なり、郊外の街にあるこの幼稚園の園児は大半が生粋のオーストリア人なので、メニューもオーストリア風が主流。切ったライ麦パンにバターを塗り、パテやハム、チーズ、キュウリ、トマトなどの野菜を載せて食べるのが一般的だ。
 この火を使わない食事は「Kaltesessen(カルテスエッセン)」と呼ばれる。冷たい食事の意味であるが、伝統的な朝食と夕食のスタイルだ。準備は食材を切るだけなので、家事の短縮にもなり、働く女性が多いオーストリアでは歓迎されているという。
 早速メニューを考える。日本の食事といえばやはり米だろうか。園児の年齢は3歳から6歳までと幅があるので、手で持って食べやすい、手まりおにぎりに決めた。食べ慣れた味としてコーンスープやコロッケなどの洋食も用意した。
 当日、日本から持参したお弁当用のパンチで、すしのりから目や鼻などの形を切り出した。用意した大小さまざまなおにぎりに付けてもらうためだ。園児は慣れない米粒を手に持ち、笑ったり、泣いたり、いろいろな顔の傑作を作った。炒め物用に用意した生イカの10本足に大騒ぎする場面はご愛敬だったが。
 味は好評だった。子どもは正直なのでどきどきしたが、うれしい感想をたくさんもらった。先生はみんなが完食したことに驚いていた。自分も参加して楽しく作ったものは、味に興味を持てるし、よりおいしく感じられるからだろうと、そんな話をした。
 朝昼晩の食事で煮炊きをすることに驚かれることは日常茶飯事である。昼食しか温かいものを食べない地元の人にすれば重労働に見えるかもしれない。しかし、私は日本の味や時間をかけて食べる楽しみをできるだけ家族に知ってもらいたいので特段苦にはならない。
 さまざまな生活の違いを知ることは、ここで暮らす醍醐味(だいごみ)かもしれない。文化の差こそあれ、お互いのいいところをうまく生活に取り入れたいものだ。(プーセンプ麻衣=リーボッホ在住)


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