リポーター発

トルコ

トルコ ・薬や香水に 重宝な果物

2015/5/27

 トルコでは、秋から冬にかけてアイワ(マルメロ)が市場に出回る。バラ科の落葉小高木で、日本で例えるなら、カリンに極めて近い果物である。トルコ語でアイワを食べたというと、悪い状態になったとの意味になるが、意外なことにおいしい料理である。
 原産はイランからカフカス地方、中央アジアにかける一帯。ペルシャ語の「アービヤー」が語源という。古代ローマやビザンチン時代には既に多用されていた食材だったようだ。
 料理としては、中をくり抜いて詰め物をするドルマ、肉と一緒に煮こんだヤハニが有名で、ジャムやコンポートとしても食べられる。このほか、葉、花、種に効能があるそうで、薬から香水まで多くの分野で重宝されている。
 ビタミンC、Aを多く含むので血や肌をきれいにするそうだ。胃腸を強くし、風邪予防にもなるので、冬になると不足する栄養分を補うため広く食べられている。生だと渋味が強いが、火を通すと渋味が消え、とてもおいしくなるのは正直意外だ。
 個人的にはデザートとして食べるのをお勧めしたい。アイワの芯の部分をくり抜き、皮をむいて、砂糖、クローブ、シナモンを加えて煮る。冷ましたら、カイマックと呼ばれる乳脂肪を載せていただく。皮や種を一緒に煮ると、何と真っ赤に染まり、着色する必要がない。見た目から食欲をそそられる。
 内陸部にあるクルシェヒルでは、アイワをくり抜き、ひき肉と米を詰めたドルマも食べた。ぶどう果汁を煮詰めてシロップ状にしたペクメズで煮てあるので程よく甘い。リンゴよりも煮崩れせず、肉との相性もいいようだ。西洋梨のようなしっとりとした食感と、リンゴと桃を合わせたような上品な味と香りを持っている。
 バラのジャムを作る際にも、アイワの種を加えて煮るとゼリー状のようなとろみがつくという。アイワの特性がいろいろな料理に生かされているのが面白い。日持ちもするし、使い勝手のよい果物なのでオスマンやペルシャ帝国の宮廷でも使われていたのだろう。今日では、メーン料理としてお目にかかることはあまりないが、この地域の歴史を黙して語る特別な存在には違いない。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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