リポーター発

トルコ

トルコ・スイカに彫刻 祭事に華

2015/6/24

 5月にトルコ南部のリゾート地アンタルヤに滞在中のことだった。19日は国民の休日で、トルコ建国の父と呼ばれる初代大統領ケマル・アタチュルクの記念日だ。第1次世界大戦後、オスマン帝国が崩壊し、欧州列強に支配されそうになった危機に、若き軍人だったアタチュルクが立ち上がった日である。現在のトルコが始まった日と言える。
 全国各地でさまざまな記念イベントが開かれる中、私が滞在するリゾートホテルでも、彼をたたえるために何か企画されているようだった。その一環として、キッチンでスイカとカボチャを使ったカービングが用意されると聞き、早速シェフの元へと駆け付けた。
 話を聞いたセルカンさんはシェフ歴15年以上のベテラン。エジプトやチュニジア、キプロスなど地中海地方にあるホテルでの経験が長いという。カービングは見習のころから、本を見たり、師匠から教えてもらったりしながら学んだそうだ。「宿泊客が自分の作品と一緒に旅の思い出として写真に収めてくれることが何よりうれしい」と話す。
 実はこのカービングはタイから伝わったものである。トルコでは、ここ10年ほど前から人気が出て、定期的に教室が設けられたり、コンテストが開かれたりしている。特に欧州やロシアからの観光客が多いエーゲ海、地中海のリゾートホテルでは、イベントに華を添える出し物として大人気だ。
 カービングにはスイカが最適らしい。程よい軟らかさで、色も深緑、白、赤と3色の層になっているので使いやすいとのこと。緑と白のコントラストを使えばシルエットになり、背景に赤を使う事でより立体感を出せるという。皮をむけば、白と赤とをうまく使って、バラの花弁一枚一枚を丁寧に彫ることができる。浅く彫ればピンク、深く彫ればきれいな赤にできる。
 同じく、カボチャもよく使われる。縦に長くて、中身は鮮やかな山吹色。スイカと違い、硬いので細工に時間がかかるが、複雑な彫刻には適している。使うのはもっぱら彫刻刀だ。スイカなら10分少々の作業がカボチャでは1時間はかかるというから、その違いは明らかだろう。
 セルカンさんによるアタチュルクを模したシルエットの数々、そしてホテルの特設コーナーに登場したバラをはじめとする花や、トルコ国旗、魚の彫刻などを見ていると、いつの間にかテンションが上がった自分がいた。まさにアタチュルクをたたえる特別な一夜だった。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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