リポーター発

トルコ

トルコ・アイス 独特の食感と味

2015/8/6

 トルコの内陸部コンヤに住んで丸3年。夏がやって来るたびに非常に楽しみにしているのが、アイスクリームだ。コンヤのメーンストリートであるメヴラーナ通りにナツメヤシ屋さんの店がある。店内には品種と生産地が別々のナツメヤシが山積みでずらりと並べてある。その店頭で数種類のアイスクリームが売られている。
 特にお薦めなのが2種類ある。まずはナツメヤシ(トルコ語でフルマ)の味である。日本ではなじみがないので、名前からでは味が想像しにくいかもしれない。干し柿とキャラメルを足して割った感じと言えば、何となくイメージしていただけるであろうか。
 もっと言うと、キャラメル味で食感は干し柿に近い。それをうまくアイスに取り入れたのは正解だ。キャラメルのような味になれているし、果肉も少し残っているところもうれしい。ナツメヤシはイランやアラブ地方の乾燥地域からの輸入に頼る。1粒でも高カロリーで、栄養価が高いので古来、隊商が砂漠を越える際には欠かせない食材だったという。
 また、断食の時期、断食明けの夕刻の食事(イフタル)には、ナツメヤシと水ですき腹を慣らした後で食事を始めるのが習わしである。体内の失った糖分のバランスを摂取するのだそうだ。断食前の真夜中の食事(サフル)にも食され、断食する日中、喉の渇きや空腹感を防ぐ。その他イスラムの五行(義務行為)の一つでもある聖地メッカ巡礼から無事帰ると、知人などにナツメヤシを振る舞う風習もある。
 アイスクリームのもう一つはバラの味。ほんのりピンクがかっており、花弁も程よく入っている。バラの香りがとても上品だが、甘すぎない。私自身、バラの香りが好きになってしまったほどだ。
 1トルコリラ(約50円)あれば注文できるし、お金さえ出せば、ナツメヤシ味とのダブルや増量もできる。私は正直、トルコのアイスクリームに飽きそうになっていたが、この2品に出会ってから、脳がこの味を覚えてしまったようで、夏には店の通りを選んで歩くようになった。
 他の街では簡単に見つからない味なので、コンヤに戻ってくると、この味がとても恋しくなってしまう。イスラム教では、バラは預言者ムハンマドのシンボルでもある。かつて宗教都市として栄えていたコンヤならではの特別なアイスクリームではないだろうか。ただし、イスラム暦の9月、ラマダン月にかかるときは、お店は日中は開店休業、夜になると行列になることをあらかじめ報告しておきたい。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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