リポーター発

トルコ

トルコ・断食終えのもてなし料理に舌鼓

2015/9/3

 トルコ南東部ハタイ県の地中海に面するサマンダーを訪れた。今から2年前、現地の専門誌に私の記事が載った際、メールをくれたデメットさんという女性がいた。今回、彼女にハタイを再訪することを伝えると、ぜひ実家にお越しくださいと招待を受けたのだ。
 この地はアラブ系の住人が多くおり、公用語のトルコ語に加えて、生活の中では母国語のアラビア語で話すことが多い。訪問した日は、1カ月にもわたるイスラム教徒の断食が終わり、祭日の2日目だった。
 うれしいことに、特別な日に作られるという料理キッベでもてなしてくれることになった。キッベはアラビア語。トルコ語だとイチリ・キョフテとなる。ピロシキに近い具入りの団子料理である。
 早速、彼女と母親のフェドヴァさん、近所に住む女性の計3人が調理を始めた。まず炒めたひき肉と玉ネギにパセリを加えて、塩、コショウで味付けし、具を作る。大きなたらいにブルグルと呼ばれるひき割り小麦を入れ、水で湿らせた後、細かくひいた牛肉と赤唐辛子を入れる。塩、クミン、みじん切りの玉ネギを加えてまぜ合わせ、しっかりと練りこむ。生地にひき肉を加えるのは、つなぎとしてうまみを出すためだそうだ。
 それを一握り取って、左手で生地をまわしながら、右の人さし指でどんどん深い穴を作っていく。15センチ程の長さにしたら、中に具を詰めて閉じる。表面は水でぬらし滑らかにする。昔は今よりも家族が多く、親戚が帰ってくると20人以上にもなった。そのたびに、たらいいっぱいの生地を用意して、女性が手分けして数百個のキッベを作らなければならなかったそうだ。苦労がしのばれる。
 キッベの仕上げは、フライパンにたっぷりのオリーブオイルとヒマワリ油を加えて揚げる。表面はアメリカンドックのようなもっちりした生地で、ブルグルのつぶつぶした食感も程よく残る。中から熱々でたっぷりの肉が出て肉汁も滴る。
 庭にある風通しの良いテーブルを囲み、家族とキッベを食べた。子どもたちが次々と手に取り、おいしそうにかぶりつく光景に、みんなの顔も思わず緩む。日本人好みの味で、私もついつい次の1本に手が出てしまうおいしさだ。
 遠い日本からの珍しいお客さんということで、近所の人も食事に加わった。異文化への興味も高く、質問攻めにあってしまった。私も負けじと質問をぶつけ、文化交流を深めた一日となった。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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