リポーター発

トルコ

トルコ・滑らかなフムス 父の味

2015/9/14

 地中海に面したトルコ南東部・ハタイ県の港町イスケンデルン市。市内はイスラム教寺院やキリスト教会、ユダヤ教のシナゴークが存在するコスモポリタンな場所だ。街を散策していると、ふと一軒のフムス屋が目に入った。とてもこぢんまりした外観だ。
 フムスとは、アラビア語でひよこ豆の意味。ゆでたひよこ豆をすりつぶして、クミンやレモン、ニンニクの他、ターヒンと呼ばれるゴマペーストが入っているのが特徴だ。いわゆる中東各国の庶民料理で、トルコ国内ではアラビアの影響を強く受けたハタイ県でよく食べられる。
 仕上がりは、ねっとりとしたペースト状。パンにつけて前菜として食べる。日本ではあまり見かけないが、米国や欧州のベジタリアンには、かなり知られている。
 このフムス専門店はファトマさん夫妻が切り盛りしている。店はファトマさんの父が始めたが、6年前に彼が他界。残してくれた店を何とか続けたいと2人で協力して引き継いだ。現在、ファトマさんが代表者となり、店の味を守る。
 彼女にはフムスのこだわりがあるそうで、特に乾燥ひよこ豆1キロに対して、必要なターヒンは500グラムと決めている。このバランスが味覚をほとんど決めるといい、そうしないと、フムス本来の味が出てこないそうだ。ひよこ豆をゆでた時に出る皮は捨て、中だけをつぶす。そうすることでとても滑らかな食感となる。
 私自身、ここまで滑らかなフムスは初めてでびっくりした。注文が入り次第、ペーストをスプーンですくって、皿に塗りつけるように盛る。真ん中にくぼみを作り、そこにクミン、赤唐辛子、刻みパセリ、オリーブオイル、好みでニンニクを順にかけて出来上がり。
 そして、もっちりしたピデと呼ばれるパンでたっぷりとフムスをすくうようにしていただく。このお店では前菜ではなく、食事として提供しており、お客さんも朝食時に来店することが多い。パン付で一皿5トルコリラ(約250円)。オムレツ載せもある。
 ファトマさんは「一度食べたフムスの味が忘れられずに、また来店する人も多いのよ。常連さんも、自分が作るフムスを父の味そのままだと喜んでくれる。それがうれしい」と話す。父が長きにわたって築き、信頼を積み上げてきたフムスと店の看板。これからも父の名を残していきたいと頑張るファトマさんだった。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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