リポーター発

トルコ

トルコ・旬の葉で巻く郷土料理

2015/10/6

 トルコ東部のマラトヤ県を訪れた。ギュルハンさんが営む郷土料理店で、今まで見たことも聞いたこともないサルマに出合った。サルマとは、トルコ語で「巻く」の意味。米、またはひき割り小麦と、ひき肉、スパイスで具を作り、ブドウの葉で巻いて、炊いたものが一般的だ。真っ先に思い浮かぶトルコの家庭料理の一つであり、ロールキャベツのルーツはこのサルマにあるとされる。
 マラトヤのサルマは、いろいろな葉が使われるのが特徴である。旬を迎えたサクランボやマルメロ、桑の実やインゲン豆、ヘーゼルナッツなど種類は実にさまざまだ。特に親しまれているのがサクランボとマルメロだという。サクランボの葉は小さく巻きにくいため、他の地方で見掛けることは極めて少ない。
 それぞれの葉は旬の4月か5月にかけ、柔らかい新鮮なものを収穫する。その後、塩漬けにしたり、乾燥したりして保存するのだという。マラトヤのサルマは他の地方の人々にとって興味津々に映るようで、私が事情を説明すると、みんなが「どうやって小さい葉で巻くのだ」とびっくりする。
 マラトヤでは、昔から大勢の来客が急にあった場合、子どもを近所の家にやり、サルマ作りのお手伝いをお願いする習慣がある。1人ではとてもこなせないサルマの量だけに、近所の女性たちが率先して駆け付けて手助けする。
 その際、作りながらお互いの悩みや問題を打ち明けるという。年配の人が、嫁しゅうとめ関係や、親子、夫婦関係に至る問題までアドバイスしたり、相談に乗ったりする。支度ができたころには、いろんな問題も解決でき、思わぬ効能もあるようだ。ただ、ギュルハンさんによると「最近はこういう関係が以前より薄れつつある。家庭や社会的な問題が解決できないでいる人も少なくないの」と明かした。
 手伝ったお礼はお金ではなく、料理の一部を持って帰ることで換えられる。いい意味で、持ちつ持たれつの関係を保ち、料理だけでなく、各家庭が抱える問題をも、こういう場で共有し合う。食文化は、人間関係の触れ合いをつくるきっかけづくりにも一役買っている。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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