リポーター発

トルコ

トルコ・露店でお菓子立ち食い

2015/12/1

  トルコ南部地方にアダナ県がある。国内で6番目、南部では、最大の都市である。そこでは、人通りの多いところに、必ずというほど歩道に沿って、お菓子の露店がある。歩道ぎりぎりまでせり出した軒下が目を引く。
 そこで人気のお菓子を紹介しよう。小麦の生地を揚げて、すぐにシロップに漬けた「ハルカ」は馬のひづめに似せたU字形をしている。ぱっと見は、かりんとう。硬めの生地をかむと、中から、たらーっとシロップが流れ出てくる。日本人からすると、激甘である。
 「タシュ・カダイフ」は、直径12センチの大きさで、片面だけ焼いたホットケーキといった感じ。これにクルミやピスタチオを詰めて二つ折りにするか、2枚の生地を重ねたものを、一度溶き卵にしっかり吸わせた後、油で揚げて、シロップに漬けてある。揚げたものは、内側の気泡がシロップをスポンジのように吸っており、かむと、じわーっと歯の間にしみ込んでくる。
 通常、5、6種類程度のお菓子が並べてある。一番安いものは、50クルシュ(25円)。だいたい1トルコリラ(50円)までのお手頃価格が一般的だ。ここは通学・通勤路であり、お客さんが次から次に立ち寄る。
 店の前にぶらさげてある紙をとって、好きなお菓子をその紙でつまみ、その場で立ったまま食べる。お金を払う前にすでに食べ始めているのが普通。男性が多い中、女子高校生も交じって「立ち食い」を楽しむ。実に気軽な食事システムといえるだろう。
 店員は常時シロップをお菓子にかけながら、客の呼び込みに忙しい。お客もシロップが多いところを好むようで、人だかりで人気店がすぐ分かる。老若男女の口からシロップが滴り落ちる食事風景には思わず笑ってしまう。さらに大半の店で、ミツバチがお菓子に集まり、その蜜を吸っているのはご愛敬か。
 アダナ県は熱い地域のためか、辛い食べ物や肉のグリルが好まれる。そのため、食後のデザートはパンチのあるずっしりとした甘いものでないと釣り合わないという。実際、揚げ菓子が胃に重いであろう夏場でもこれらのお菓子は人気である。
 冬になるとさらに消費が増えるというから、アダナの人にとっては依存症に近い食べ物なのかもしれない。季節を問わず、老いも若きも店の前でふと足を止め、思わず手が伸びてしまう至福の食べ物なのは間違いなさそうだ。(岡崎伸也=コンヤ在住)


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