リポーター発

アメリカ

米国・合理主義 贈り物返品も

2015/12/31

 私が覚えている幼い頃のクリスマスといえば、欲しいものを一つだけ選んでサンタさんに託したもの。25日の朝、枕元に心待ちにする贈り物が届いた時のうれしさは今でも覚えている。しかし、ことし初めて経験した、クリスマス文化の本場米国のクリスマスプレゼントは、私の経験とは事情が異なるようだ。
 11月の第4木曜はサンクスギビングデー、いわゆる感謝祭で、翌日はブラックフライデーと呼ばれる。この金曜はクリスマス商戦の火ぶたが切って落とされる日であり、特別セールをめぐる買い物合戦は壮絶である。
 各店が打ち出す限定目玉商品を目当てに数日前から泊まり込む人や開店後、すさまじい勢いで店内に突入する人の様子は決まってニュースになる。わが家は旅行でちょうどシカゴに滞在していた。怖いもの見たさもあって、街一番のショッピングエリアに行った。
 午前8時に到着したが、どの店も大勢の人でごった返している。値引きされた、クリスマスツリーの刺しゅうが付いた赤いセーター、青い目の人形セット、在庫処分品などが飛ぶように売れる。通りには、両手いっぱいに買い物袋を持つ人たちが忙しそうにすれ違う。
 週末の1人当たりの平均消費額は約400ドル(約4万8千円)。全米では総額8千億ドル(約97兆円)に上るともいわれる。企業の売り上げの半分以上は、ブラックフライデーから始まるクリスマス商戦期間中というのも納得である。
 米国のクリスマスプレゼント事情は「質より量」志向だ。人々は安くなったものを大量に買いまくり、膨大な量のプレゼントをギフトラッピングして、クリスマスツリーの下に山積みにする。それを25日に家族で開封し、眺めて悦に浸るのだという。
 だが、話はここで終わらない。米国では相手にプレゼントを贈る際、「ギフトレシート」を同封する習慣がある。なぜか。これさえあれば購入者でなくても、返品交換が可能だからだ。その商品が数回使った靴でも家電でも、返品有効期間内なら、レシートさえあれば返品や交換ができるのだから本当に驚く。
 日本人の私は、プレゼントの返品なんて贈ってくれた人に失礼ではないかと思うが、そこは合理的な米国。不要なものをもらうより、自分の欲しいものに変える方が実用的という考えが主流のようで、だれも意に介さないのである。
 ちなみに、わが家の子どもたちは、日本の祖母宛てに手作りのクリスマスカードとクリスマスツリーを準備した。きっと喜んでくれただろう。値段や量ではない、やはり心のこもった贈り物が何よりと思うのは私だけだろうか。(プーセンプ麻衣=ロチェスター在住)

ブラックフライデーの日、大勢の買い物客でごった返すシカゴ市の中心部

ブラックフライデーの日、大勢の買い物客でごった返すシカゴ市の中心部

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