リポーター発

イギリス

英国・多民族 各地に異国情緒

2016/1/15

 英国の人口は公称で約6400万人。National Insurance Numberと呼ばれる国民保険番号を基に算出され、これは日本でいえばマイナンバー制度に近いシステムである。だが、実際の人口は約7千万人ともいわれる。なぜ数百万人も誤差があるのか。国民保険番号は、国民へは16歳で自動的に割り振られるが、外国人の場合は申請する必要がある。つまり、この番号を取得していない人がたくさんいるからだ。
 大航海時代、英国は繁栄を極め、世界中に大英帝国の名をとどろかせた。1600年に東インド会社を設立してインドを統治し、中国も支配下に治めた。そうした縁もあってか、インドや中国、パキスタンの3カ国だけで約400万人がいると推測されている。
 さらにイタリア人も数百万人はいるという。最近では、ポーランドからのビザが不要となり、その数は50万人以上に上るという。彼らは主に土木関係の仕事に就き、5年間働いてためたお金で母国に家を建てるそうだ。
 私が住むロンドンでも各民族の街があり、英国が多民族国家であることを実感する。オーストラリア人はアールズコート。フランス人はサウスケンジントン。スペイン人はエッジウエアー。ユダヤ人はゴールダース・グリーンという具合である。一昔前はゴールダース・グリーンはユダヤ人と日本人が多く住んでおり、英語の頭文字を取って「JJタウン」と呼ばれていた。その後、日本人は日本人学校が西へ移動したのに伴い、イーリングという地域に居を移した。
 もちろん、中華街も中心部にある。そして、空港のそばにはインド人街が立地する。インド人街では、女性はみんなサリーを着ており、レストランもカレー屋ばかり。ここの写真を見せても、だれも英国とは思わないだろう。
 昨年11月、フランスでパリ同時多発テロが起こった。次の標的はロンドンともされ、市内は常に緊張感が漂う。世界の争いは、土地、民族、宗教に起因するものが大半であることをだれもが同意するだろう。多民族国家が生きる道とはどうあるべきか、英国がその範になれないか。その答えが分かれば世界が平和になる日も遠くない。一人一人が本気で考えるときが来たのだと思っている。(渋谷英秋=ロンドン在住)

ロンドン市内にあるヒンズー教の寺院。英国とは思えない異国情緒が漂う

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