リポーター発

トルコ

トルコ・肉と愛情包んだ母の味

2016/2/8
マントゥの仕上げには定番のヨーグルトをかける。酸味とまろやかさが増す

マントゥの仕上げには定番のヨーグルトをかける。酸味とまろやかさが増す

 トルコで代表的な家庭料理、母の味と言えば一番に思い浮かぶのはマントゥである。小麦の生地の中にひき肉の具を詰めて包んであり、見た目は水餃子やラビオリに近い。中国からシルクロードなどを経由し、トルコへ形を変えながら伝わった食べ物だ。
 トルコでマントゥの本場としてすぐに名前が上がるのがトルコ中央部に位置するカイセリ県。今回、そこに住む知人のマフムットさんを訪ねた。私の訪問を知り、妻のメリハさんが、本場のマントゥをごちそうしてくれることになった。
 一般的な作り方はこうだ。小麦粉を塩や卵、水で硬めに練って生地にした後、1時間ほど寝かせる。これを延べ棒で薄く延ばして2センチ平方角に切って、ひき肉の具を載せる。正方形の生地の四隅を中央でつまんだものをゆで上げる。
 カイセリ式のマントゥの生地は一般的なものよりも一回り小さく1センチ平方角。スプーンに40個載せられるほど小さい。具は、赤身の牛のひき肉、細かく刻んで汁を絞った玉ねぎに塩、パプリカパウダー、刻んだ紫のバジルを合わせて混ぜ込む。生地をひねるようにしながら具を包み、ゆでるのだが、マントゥがお湯の表面に次から次に浮き始めるので実に面白い。
 皿にいくつかすくって揺らしてみる。すーっと滑ると食べ頃だが、滑りが悪いとゆで上がりが足りないそうだ。頃合いになると、湯の半分を捨てて、トマトソースを加える。スープ状にしたものを皿に盛り、ニンニク入りのヨーグルトソースをかける。上にはスマック(ゆかりに近い)をふりかけて完成だ。
 カイセリ式は湯切りしてある一般的なマントゥと違ってスープ状である。そのためか、喉越しもよく、つるつると食が進む。また具に入れたバジルがアクセントとなり、爽やかな香りが一層食欲をそそる。
 カイセリのマントゥは、母親が兵役から帰ってきた息子を迎えるとき、娘が食事を初めて作るとき、そして、嫁がどれほど小さいものを作れるか技量を確かめるときに作られるそうだ。手間がかかるマントゥは母の味と愛情の象徴でもあり、他の料理とは別格だ。わが家を確認するこの上ない存在なのであろう。(岡崎伸也=コンヤ在住)

この記事に対するコメント
一覧

  • コメントはありません

  • この記事にコメントするへ
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧