リポーター発

アメリカ

米国・大統領選 国民間に物議

2016/3/14

 毎週土曜日、娘たちが日本語補習校で学んでいる間、近所の図書館で過ごすのが日課になりつつある。館内には背の高い書棚が円形状に連なるリビングルームのような部屋がある。暖炉のそばのソファに腰を下ろし、雑誌を開く。このところ表紙に頻繁に登場するのは、次期米国大統領選の候補者たちである。
 現在、各州の有権者が自分が選びたい候補者を支持している「代議員」に投票する予備選挙の真っ最中だ。そして、党員集会や予備選が期間中に最も集中する、いわゆる「スーパーチューズデー」は1日だった。現職オバマ大統領の民主党からの最有力候補は、前国務長官の元ファーストレディー、そして弁護士でもあるヒラリー・クリントン氏。米国の憲政史上、初の女性大統領の誕生というストーリーを掲げる。
 一方の共和党は、未曽有の新参候補者が予想を上回る快進撃を見せる。カトリックの頂点に立つローマ法王やオバマ大統領も言及するほどの過激発言で世間をにぎわしている実業家のドナルド・トランプ氏である。負け犬は嫌い、戦争捕虜で収容されたヒーローも嫌い、そして身体障害者や女性に対する軽視発言など、その常軌を逸脱した発言は枚挙にいとまがない。その中でも、人々の関心と一部の怒りを買っているのが「メキシコ国境に大きな壁を建設する」「イスラム教徒の入国は一切禁止すべきだ」といった、昨年末からの人種差別的な一連の発言だろう。
 これらが、テレビのリアリティーショーの司会を務めたトランプ氏の、有権者の獲得を狙った意図的なパフォーマンスだったとしても、米国内に持ち込まれる麻薬や犯罪、イスラム国によるフランス・パリ中枢同時テロや、難民によるドイツでの集団暴行事件の発生に伴い、国民の間に物議を醸していることは確かだ。
 私が住むミシガン州の田舎町の図書館の中だけを見ても、欧州やアラブ、アジア、アフリカといった異なる祖先を持つ人であふれている。米国は多民族、多人種、多文化で成り立っているという価値観を今後も保てるだろうか。今、国民の連邦議会への支持率が低迷している。これが政治への不満を代弁しているとすれば、成熟しきった政治家よりも、勢いのある新参候補を選ぶ結果となるのか。
 各党の全国大会で指名候補者1人が最終的に確定するのは7月。その後の本選挙で一般有権者が「大統領選挙人」に投票し、さらに選挙人による投票で大統領が正式に決まる。間接的ではあるが、有権者が大統領を選ぶ仕組みといえる。結果が世界から注目される一般有権者による投票日は11月8日。米国民がどのような決断をするのか、見守っている。(プーセンプ麻衣=ロチェスター在住)

ミシガン州の予備選挙当日。投票所となった高齢者向けデイサービスセンター前には、候補者への支持を呼び掛けるサインが並ぶ

ミシガン州の予備選挙当日。投票所となった高齢者向けデイサービスセンター前には、候補者への支持を呼び掛けるサインが並ぶ

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