リポーター発

トルコ

トルコ・ラクで乾杯 楽しむ会話

2016/3/29

 トルコには、居酒屋とも言えるメイハーネがある。イスラム教で禁じられているお酒が飲めるのは、政教分離を掲げていること、そして、本人の価値観や見識に任せている側面があるからだ。
 メイハーネはペルシャ語が語源である。「メイ」はお酒やワインの意味で、家を表す「ハーネ」と一緒になった言葉だ。オスマン帝国時代よりも以前のローマ時代から異教徒たちが築き上げた文化と伝わる。
 トルコでは概して、お酒に関しては港町がある場所では寛容である。港町で国内最大都市のイスタンブールにはこのメイハーネが本当に数多い。私も訪れるたびに、いろんな店巡りをする。このように生活の一部になっている地域がある一方で、内陸に行くと、保守的な傾向が強まるためか、酒とは全く縁のない生活をしている地域もある。
 さて、メイハーネに欠かせないものを紹介したい。それがラクと呼ばれる蒸留酒である。ブドウで造られ、アニスの香りを付けてある。蒸留するためアルコール度数は高く、40度近い。それを細長い専用のグラスに注ぎ、氷と水で割る。アルコール度数が下がると白くにごるため、ライオンミルクの異名を持つ。ワンショットでもいいし、ボトルをキープする常連もいる。
 トルコの人たちにとってラクは国民酒。実際、酒の話になると、特に男性からラクが飲めるか、飲めないかという質問が来る。ラクが好きだと答えると、一気に仲良くなれる。どこの国でも国民酒を好きになってもらうというのはうれしいものなのだろう。
 ラクのお供として、メロン、スイカと白チーズがあれば、何もいらないという人が多く、私もその一人だ。スイカなどの果物に世界で一番合う酒は、ラクだと断言したい。アルコール度数は高いが、アニスの香りと甘い口当たりのおかげか、果物を食べて、飲むと、なぜかスルっと喉を通る。
 またメイハーネに大事なのは、料理よりも、おしゃべりということをよく聞く。楽しいひとときを過ごし、友人たるためには、酒を介した愉快なおしゃべりや議論を交わす時間を共有することが欠かせない。このような時間を楽しむことこそ、メイハーネの神髄である。つまり、ラクを楽しむためには、コミュニケーション能力が何よりも大切なのである。
 仕事に、政治に、サッカーの話題に加えて、トルコ人は冗談も上手。そこにクラリネットやアコーディオンなどの楽器を弾く、流しの演奏家が加わり、その場をさらに盛り上げてくれる。メイハーネで笑いを共有しながら過ごすひとときが私はたまらなく楽しいのである。(岡崎伸也=コンヤ在住)

メイハーネでラクを飲みながら会話を楽しむ。トルコの人にとってかけがえのない時間だ

メイハーネでラクを飲みながら会話を楽しむ。トルコの人にとってかけがえのない時間だ

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