リポーター発

ドイツ

ドイツ・子の思考力 社会で育む

2016/5/10

 ドイツでは、子どもの頃から自分の頭で考える力を育てる教育が重視されている。そのためか、子ども向けの博物館や科学館、美術館などの施設や参加型イベントが充実している。
 先日、ドイツ南部ハイルブロン市にある「エクスぺリメンタ」に足を運んだ。「発見、体験、理解」することを目標とした総合科学博物館で、環境エネルギー、テクノロジー、メディア、コミュニケーションなど幅広いテーマで学べる。
 例えば、環境コーナーでは、風力発電などの仕組みについて、ボードやミニチュア模型を使いながら視覚的に理解する。テクノロジーコーナーでは、自動車のエンジンを実際に解体しながら、その仕組みを学ぶといった具合だ。
 対象年齢は、幼稚園から中学生ぐらいまでの子どもだが、私たち大人でも難しいと感じる内容も少なくない。各コーナーには専門職員が配置されており、技術的な質問にいつでも答えてくれるのはうれしい。よく観察すると、自分の子どもに一生懸命説明をしたり、対話しながら一緒に考えたりする親の姿も目立った。
 館内には「若き研究者のためのアカデミー」という研究所もあり、小学生以上のグループが利用できる。生物や化学、物理、自然科学などさまざまな分野の専門職員の指導のもと、参加者は知識を吸収し、理解した内容をまとめて意見交換する。
 実習では、研究者用の白衣や作業着を身にまとい、実験器具を使うなど本格的だ。3〜4時間に及ぶ参加費は、1人当たり5ユーロ(約630円)。良心的な価格で質の高い体験ができるとあって、学校の課外授業としてもよく利用されているそうだ。一度だけでなく、長期的な利用も可能。子どもが自分で考えたテーマで実験を重ね、研究結果を他グループと競い合う研究コンテストも開かれている。
 長男が通う幼稚園でも、週に2日ほど学習プロジェクトの日を設けている。自動車、恐竜、歴史など、園児の興味や適性に応じてグループ分けされ、実験や課外学習などを通して知識を身に付けるプログラムだ。まだ幼い園児とはいえ、しっかり自分の意見やアイデアを持っている。間違った答えというのは存在しないそうだ。
 終了後、プログラムに関連する施設を実際に訪れ、見聞を深める。これまで自動車博物館、恐竜博物館、お城の博物館などを訪れている。将来、エクスペリメンタで課外授業を受けることもあるだろう。
 このように、ドイツでは知識を教えるだけでなく、思考力を育む教育環境が整っている。大人も顔負けの発想力や柔軟性を持っている子どもだからこそ、こうした体験が秘めた才能を開花させるきっかけになるのだろう。将来、国の大きな財産になるのは間違いない。(宮武加苗=シュツットガルト在住)

自動車のエンジンに触れながら仕組みを学ぶ親子連れ

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