リポーター発

トルコ

トルコ・春の野草 食生活と密接

2016/5/16

 トルコ内陸部にあるヨズガット県を4月に訪れた。同県周辺のチョルム、アマスヤ、トカット、シワスの各県もそうなのだが、これらの地域を旅していると、マドゥマックという蓼(たで)科の野草をよく目にした。
 スーパーや青果店の店頭には袋一杯に詰められたマドゥマックが並び、「今年のマドゥマックが入荷しました」と看板が出ていた。市場では、どっさり山積みに広げられ、買い求める客でにぎわう。意外にも、トルコに旬の野草などを食べる習慣があることに気付いた。
 特に春の時季は各地でさまざまな野草が採れるので、食卓に上るようだ。黒海沿岸ではガルディリッキというフキとウドを足したような山菜、エーゲ海地方では野生のアスパラガスの異名を持つサルマシュックが、それぞれ特に好まれているそうである。
 話を戻そう。ヨズガット県の村、友人の親戚宅でのことである。庭先には5センチ程度の小さなマドゥマックが葉を広げ、一面に生えていた。ちょうど、親戚のおばさんが夕食用に摘み取り作業の真っ最中で、かがんだ姿勢で小さなナイフを使って汗を流していた。かがんだままの作業なので何キロも大量に採ろうと思うと骨が折れる作業だ。
 街の食堂でいただいた料理は、刻んだマドゥマックを鍋に入れ、水、米やひき割り小麦と一緒にして火にかけてあった。さらに刻んだ玉ネギとニンニクをバターで炒めたものを鍋に足してこくを高めていた。塩を足し、しんなりするまで30分ほど煮て出来上がりだ。
 苦みはあまり感じず、お茶の新芽のような若々しい香りがした。ニンニク入りヨーグルトをかけて食べると実にクリーミーである。牛肉で作った干し肉(パストゥルマ)を小さく刻んで入れて煮ると、さらにうま味が増し、よりおいしい。生のままサラダとして食べることもあり、ホウレンソウのように用途は広い。
 現地では、野草のマドゥマックを食べると、その年は健康に過ごせるという言い伝えもあるそう。そのあたりは日本の七草に似ていて一層身近に感じた。住民も「肥料がなくても、毎年この時季になると自然に生えてくる」「とても体によく、自然界で採れる抗生物質」「効能はいろいろあるけど、血糖値を下げるので糖尿病によい」などと口をそろえる。
 ちなみに、隣県シワスでは、マドゥマック踊りというのがあって、腰をかがめて刈り取る様子が踊りの中で再現されている。日本ではフキやワラビ、菜の花などがマドゥマックに該当しそうだが、日本以上に生活と密接に関わっているように思えた。内陸部の冬が明けて、春の到来を告げる野草が食生活に根付いているのを感じ、心まで温かくなった。(岡崎伸也=コンヤ在住)

青果店でマドゥマックを売る店員

青果店でマドゥマックを売る店員

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