リポーター発

イギリス

英国・社会を変えたビートルズ

2016/5/30
世界一有名な横断歩道はアビー・ロードスタジオ(奥右)の目の前にある。歩けばすっかりビートルズ気分

世界一有名な横断歩道はアビー・ロードスタジオ(奥右)の目の前にある。歩けばすっかりビートルズ気分

 ウィリアム1世が1066年に英国を征服、即位してことしで950年。現在のエリザベス女王は40代目である。英国史上最高齢の君主にして、カナダやオーストラリアなど英連邦15カ国の元首でもある。
 その昔、英国はローマ人やゲルマン人の侵入を受けていたが、ウイリアム1世が王位に就いて以降は、これまで大きな戦争で負けていない。フランスとの薔薇(ばら)戦争、皇帝ナポレオンが大敗し、歴史の転換点となったワーテルローの戦い、第1次、2次の世界大戦も全て戦勝国だ。
 ということは文化、風習が他国によって破壊されていないということ。第2次世界大戦後も古くからの支配者階級が社会にどっしりと根を下ろし、格差社会と呼ぶよりは、既存社会と呼ぶ方がぴったりだった。
 そのため、庶民は家業を継ぐのが当然と教わり、疑問に思う人も少なかった。パン屋の子どもはパン屋に、食肉店であれば食肉店にという具合である。金持ちはより金持ちに、貧乏人はさらに貧乏人へと二元化するのが必然として受け止められていた。
 これら英国の既存社会を初めて壊し、くさびを打ち込んだのが、あのビートルズだった。レコードが世界的に売れ、英国の貿易拡大に寄与したとして、何と1965年にはエリザベス女王から勲章をもらう。それまで考えられない歴史的な出来事。軍功で勲章を受章した元軍人の中には抗議して返上する者が続出した。
 ビートルズは、希代のソングライターであるジョン・レノンとポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人がメンバー。62年にデビュー、70年に解散した。わずか8年間の活動だったが、自作自演のスタイルや長髪ファッションなど世界中の若者に与えた影響は計り知れない。
 最後に面白い逸話を。英国では毎年11月に王室御前コンサートが開かれる。通常はクラシックや英国教会推薦の歌手しか出ないが、63年にビートルズは極めて異例の出演を果たす。そして最後の曲「ツイスト・アンド・シャウト」を歌う前にジョンがこんなジョークを飛ばした。「安い席の人は拍手を、残りの人は宝石をジャラジャラ鳴らしてください」。もちろん、女王の目の前である。
 その後、世界中に旋風を巻き起こし、歴史に名を残したビートルズ。ロンドン郊外にある、彼らが曲のほとんどを収録したアビー・ロードスタジオやアルバムのジャケットにも登場する横断歩道の前には今も観光客が絶えない。(渋谷英秋=ロンドン在住)


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