リポーター発

イギリス

英国・離脱か残留か、それが問題だ

2016/6/13
BBC放送に出演した元首相のメジャー、ブレア両氏。2人ともEU残留の支持派だ

BBC放送に出演した元首相のメジャー、ブレア両氏。2人ともEU残留の支持派だ

 今、英国では、テレビをつけるとニュースや討論会で盛んに取り上げられているテーマがある。23日に予定される欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票についてである。離脱か残留か、賛否の支持率が伯仲する中、かんかんがくがくの議論が続く。
 残留派の筆頭はキャメロン首相。彼は「単一通貨のユーロ圏には参加しない」「独自の国境管理を行う」「EUのさらなる政治統合には加わらない」「新たなEU移民に対しては、福祉手当支給の制限を強める」などとEU改革を推し進める決意を述べている。オバマ米大統領から「英国は残留すべきだ」とのコメントを取り付け、追い風にする。
 自治体では私が暮らすロンドン市も残留派だ。市中心部に密集する大手金融機関も残留を望んでいる。英国内だけでなく、EU加盟の各国でもさまざまな取引をしているので、離脱をするとパリやアムステルダムに事務所を構える必要が出てくるからである。
 英国で活動する日本企業はどうだろう。在英日本商工会議所が2〜4月に日系企業333社を対象に実施したアンケートによると、回答した127社のうち%が残留を望む結果となった。その筆頭格は英国の高速鉄道を受注し、既に工場を稼働させた日立製作所である。離脱となると、戦略の変更を余儀なくされる可能性があるそうだ。
 一方、離脱派の筆頭は、今年の5月までロンドン市長の任にあったボリス・ジョンソン氏だろう。現在、下院議員のポストにあり、EUから離脱すれば、加盟国だったがゆえのさまざまなデメリットを解消できると主張する。経済の分野に限り、EUと新協定を結ぶべきだと声高に訴える。
 さらに、EUへの加盟金が年間で180億ポンド(日本円で約2兆7500億円)となることにも着目。離脱をすれば、その予算を昨今、問題となっている国民医療制度(NHS)などの公共サービスへ振り分けると青写真を描く。
 昨年の国内選挙で大幅な指示を得たUKIPの首頭ナイジェル・ファラジー氏も離脱派である。彼は今回の国民投票のきっかけをつくった張本人でもある。ちなみに、ジョンソン氏とキャメロン首相は大学の同窓生で旧知の仲。ジョンソン氏は次期首相の有力候補とされ、今後の政局にも影響しそうだ。
 個人的には残留を望むが気にかかることも。それはここ数年、欧州からの移民がものすごい勢いで増えていること。ポーランド人だけでも100万近くに達する。EU参加国から英国に来た場合、自国に残した家族も英国の福祉を受ける権利があるのは少しやり過ぎのようにも思う。EUだけでなく、世界が結果に注目している。(渋谷英秋=ロンドン在住)

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