リポーター発

イギリス

英国・音楽の祭典 夏の風物詩

2016/8/2
クラシック音楽の祭典「プロムス」の会場はロンドン中心部にあるロイヤル・アルバート・ホールが会場だ

クラシック音楽の祭典「プロムス」の会場はロンドン中心部にあるロイヤル・アルバート・ホールが会場だ

  ロンドンの緯度は北緯51度である。北海道の北にあるカムチャツカ半島辺りになるだろうか。緯度の割に寒くならないのは、メキシコ湾の暖流のおかげ。ここロンドンでは、真冬でも最低温度がマイナスになることはまずない。真夏でも、30度を超えるのは数回あるかないか。30度を超えても、湿度が低いので過ごしやすく、木陰に入ると涼しいほどである。
 さて、ロンドンの四季の風物詩を紹介しよう。春の訪れを告げるイベントが、テムズ川で開かれる、1829年に始まったボート伝統の一戦、オックスフォード大とケンブリッジ大の対抗戦。英国で最も歴史があるスポーツ大会と言ってもよいだろう。
 テムズ川では、夏にヘンリー・ロイヤル・レガッタも開かれる。ロイヤルと付いているのは、パトロンがチャールズ皇太子だから。アマチュア最高峰のボートレースとして知られ、5日間にわたって行われる。メインの8人乗りレースには毎年有力チームが集い、盛り上がる。詳しくは来年の夏に紹介したい。
 夏の風物詩と言えば、忘れてならないのがプロムス(Proms)。世界有数のオーケストラや著名な音楽家たちが集結し、7月中旬から9月中旬までの約2カ月間、演奏を繰り広げる、英国を代表する音楽祭である。今年で122回となる伝統あるイベント。ちなみに、プロムスとは、プロムナード・コンサートを略した言い方である。
 この音楽祭は、1893年にランガム・プレイスに建てられたコンサート劇場「クイーンズ・ホール」のマネジャーのロバート・ニューマンと指揮者のヘンリー・ウッドが発案した。普段はクラシック音楽を聴かない人も気軽に足を運べるよう、堅苦しい雰囲気やしきたりを取り払い、誰でも楽しめる安価なコンサートにするとの趣旨だったそうだ。
 激しい階級制度に縛られていたビクトリア朝時代においては画期的な催しだったと思う。1回目が2年後に始まり、以降は毎年夏にクイーンズ・ホールで開かれていたが、第2次世界大戦時に何度か中止の憂き目に遭っている。1939年は、開催中に開戦が宣言されたために3週間で中止に。翌年も空爆の激化によって途中で打ち切りとなった。
 趣旨である「どんな状況でもプロムズを開催し、音楽を人々へ届ける」というのはすごいと思う。現在の会場であるロイヤル・アルバート・ホールの最上階は「ジャラリー席」となっており安価で入場できる。若者が寝そべってワインを片手に音楽を聴いている光景は、日本のクラシックコンサートでは、まずお目にかかれないだろう。今年のテーマは「ロシア」とのことである。(渋谷英秋=ロンドン在住)

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