リポーター発

ドイツ

ドイツ・助産師制度 出産の支え

2016/8/29
自宅を訪問し、新生児の沐浴指導をする助産師(奥右)

自宅を訪問し、新生児の沐浴指導をする助産師(奥右)

 8月初旬、第2子となる次男を出産した。ドイツで子どもを産むのは2度目だが、出産から間もない今、妊娠中から産後まで、この国が誇る「助産師制度」が果たす物理的、精神的な役割の大きさを改めて実感している。
 ドイツでは、妊婦健診はかかりつけの産婦人科で、出産は総合病院や産婦人科病院、助産院などでするのが一般的である。出産先を探すのは比較的容易だ。通常より、丁寧できめ細かいケアが必要とされるハイリスク妊娠などでない限り、予定日の1カ月ほど前に希望先に事前登録をすればいい。登録をしていなくても、陣痛が始まってから来院し、出産するケースも少なくない。
 わりと簡単に出産先が見つかるのと対照的に、助産師を探すのはかなり大変だ。近年、重労働や低賃金などの理由から助産師不足が続く状況もあり、出産直前になっても助産師が見つからないケースが増えているそうだ。
 もちろん、出産をする総合病院などでも指導は受けられるが、病院などは出産をするだけの場所とされ、最低限の範囲内だ。それに対して助産師は、妊娠中のカウンセリング、出産に向けた準備の指導、産後の自宅訪問でのケア、産じゅく体操などで長期間、妊婦や母親と直接関わる。
 自宅訪問は、退院後の10日間は毎日、その後の8週間は徐々に間隔を空けながら必要に応じて行われる。その間、助産師は授乳方法や沐浴(もくよく)の手順、母親の健康管理、衛生・栄養面でのアドバイスなど、乳児ケアに関するあらゆるサポートを担う。
 ドイツは出産後の入院期間が3日程度と短いので、助産師による退院後の自宅訪問は必要不可欠なのである。確かに、短い入院期間中でも、看護師や当直の助産師から指導を受けることができる。ただ、自宅という落ち着いた環境の中で、同じ助産師からマンツーマンの指導が受けられるという精神的なメリットは非常に大きいと思う。
 ドイツでは日本のような出産育児一時金がない代わりに、助産師による一貫した指導の大半を保険で賄うことができる。公的医療保険の場合、定期妊婦検診▽出産準備コース▽出産・入院の費用▽助産師による自宅訪問▽産じゅく体操コース―といったものすべてが保険適応なのだ。
 また、帝王切開や無痛分娩(ぶんべん)を希望しても追加費用がかかることはない。こうした国の支援は、これから子どもを持とうと考えている人の経済的な負担を軽減してくれる。恵まれた環境の中で出産・育児ができることをうれしく思う。助産師不足は続くが、多くの妊婦や母親が助産師制度の恩恵を受け、安心して子育てができることを願っている。(宮武加苗=シュツットガルト在住)

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