リポーター発

イギリス

英国・バラや桜 庭に四季の花

2016/9/23
玄関にたどり着く前に庭を彩る花々が優しく出迎えてくれる

玄関にたどり着く前に庭を彩る花々が優しく出迎えてくれる

 昨年の11月、英国で開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で日本代表が歴史に残る大活躍をした。世界に名を知らしめた彼らのユニホームの左胸にあったマーク、それは日本の国花、桜である。
 イングランドの国花はバラである。当然、イングランドの代表チームのユニホームの胸にはバラが刺しゅうされている。英国ではガーデニングが盛んで、庭を花できれいに彩る家がとても多い。「イングリッシュ・ガーデン」の言葉も有名だ。今回は英国で咲く季節の花々を紹介しよう。
 冬の終わりから春先にかけて咲くのがツバキである。少し遅れて、春に大量に咲くのがラッパ水仙。3月末ごろ、この花が街を彩り始めると、英国にも春が訪れる。市内のあらゆる公園で咲き誇る。春の花の代表選手はやはりチューリップで4月中旬から5月半ばにかけて、さまざまな色の品種が楽しませてくれる。
 5月、郊外に出掛けると一面が黄色いじゅうたんのようになった畑を見ることがある。一斉に咲く菜の花で遠出がつい楽しくなる。同じころ、ツツジが満開となる。英名を「ジャパニーズ・アゼリヤ」という。5月に花が咲くので、ずばり「メイ」という木もある。
 6月から8月はアジサイの季節。土の酸度で花色が変化し、赤や青などの色に変わるのは英国も同じだがこちらは赤が多い気がする。ライラックも隆盛だ。
 夏の主役は何といってもバラであろう。いろいろな種類が開発・改良され、数百種類を数える。さすがイングランドの国花。まさにイングリッシュ・ガーデンのスター選手なのだ。
 ところで、日本にある桜は、ほぼ8割がソメイヨシノなのをご存じだろうか。幕末に開発された新種で、明治維新後、急速な近代化と富国強兵路線が進む中、新生日本のシンボルとして各地に植樹されたそうだ。
 英国には桜に魅了された有名な園芸家がいる。日本の桜を英国に広めたコリングウッド・イングラム(1880〜1981年)だ。彼は英国で可能な限りの桜を入手したが満足せず、より珍しい品種を求めて明治・大正期に3度来日した。
 そして、ソメイヨシノばかりが好まれ、そのほかの品種が消えようとする日本の状況に危機感を抱いた。絶滅を防ぐため、京都の「妹背」「手弱女」、彼が名付け親の「アサノ」など多くの品種を英国に持ち帰った。そして自宅の庭園に植樹し、保存を計った。
 1927年には日本で絶滅していた品種「太白」の種木を「桜守(さくらもり)」で知られる京都の植木職人第14代佐野藤右衛門へ送り、日本で復活させた。イングラムのおかげで英国では3カ月にわたって桜をめでることができる。わが家の桜も12月末から翌年の3月ごろまで花を咲かせている。(渋谷英秋=ロンドン在住)

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