リポーター発

イタリア

イタリア・給食不評で弁当自由化

2016/10/24
給食の代わりに子どもが学校に持っていくパニーノ 

給食の代わりに子どもが学校に持っていくパニーノ 

 トリノの小学校給食に異変である。「高い、まずい」と、子どもからも、保護者からも長い間不評だったトリノの給食についに「ノー」が突き付けられた。新聞で「パニーノ(イタリア語でサンドイッチ)の戦い」と呼ばれ、全国的に広がったこの騒動。裁判所が9月に下した判決により、給食を食べる代わりにパニーノを持って学校へ行く権利が認められた。弁当の自由化である。
 イタリアの小学校では、お昼ご飯を給食か、自宅で食べるかを選択する。給食は学校の食堂でいただく。自宅組は保護者が昼に子どもを迎えに来て、食事後、学校まで送り届ける。給食は市内の給食センターが全校分を作って配送、各学校で温め直して配膳する。
 味は、子どもいわく「ゆで卵ですらおいしくない」。年に数回は品質が悪すぎるなどと、給食に反対する運動ビラが学校前で配られるほど不評だ。食の国イタリアのイメージ通りのおいしい給食もあるらしいが、トリノ市はそうではないらしい。
 それなのに、給食費は高い。年収で負担額は変動するが一番高いと1食5・27ユーロ(日本円で約600円)もする。1カ月だと1万2千円だ。ちなみに広島市は1食250円だそう。この給食に黙っていられなくなった58家族が、新年度が始まる前に「学校にお弁当の持ち込みを認めよ」と訴訟を起こした。
 学校側の反論は、給食は栄養を取るだけでなく、食事を通じた教育の場である。味よりも安全・衛生に注意を払っている。また、家から食物を持参した場合、衛生面で問題が起きかねない―であった。
 そして、裁判所の判決は、パニーノ持ち込みを認めるもの。ただし家から持ってきた弁当の衛生面に関しては個人責任とした。食堂内で給食の生徒と弁当の生徒を机で分ける必要があるとしたが、部屋を別にする差別はいけないと続けた。まずは保護者の勝利であった。
 そして10月。わが子の小学校はどうなっているかというと、クラスでも2、3人が弁当を持参し、食堂内の別卓で食べているそう。あんなに騒いでいたが、こんなに少ないのかと拍子抜けするほど弁当率は低い。
 イタリアでは、冷たい食事に対して強い抵抗感がある。「給食はいまいちだけど温かい。弁当は冷たい。冷たい食事は体によくない」と主張する先生や保護者の何と多いこと。弁当文化がない国だとこうなると驚くばかり。朝から料理を作るのが嫌だとはっきり言う母親もたくさんいる。
 さて、わが家はどうしたかというと、とりあえず、今年の前半は給食を続行する。キャラ弁を毎朝作るすてきな日本のお母さんにはしばらくなれそうもない。(和田忍=トリノ在住)

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