リポーター発

ドイツ

ドイツ・週末 森でリフレッシュ

2016/11/17
黒い森の中にあるハイキングコースの休憩スポットで日光浴をするドイツ人

黒い森の中にあるハイキングコースの休憩スポットで日光浴をするドイツ人

 森をこよなく愛するドイツ人。趣味を聞かれて散歩やハイキングと答える人が実に多いことに驚く。週末が近づくと、彼らとの会話の中に、「Erholung(回復)」という言葉が頻繁に登場する。休日は街の雑踏から逃れ、自然の中で静かに過ごしたいという思いがきっとそうさせているのだろう。中高年はもちろん、若者も静かな休日を好む傾向にあるようだ。
 私が暮らすシュツットガルトの南西約70キロ、車で約1時間の場所にあるシュバルツバルト(黒い森)は、日々の疲れから「回復」するのに絶好の場所である。南北約160キロ、東西20〜60キロも広がる雄大な森林地帯。生い茂った針葉樹林が太陽を遮ることから、「黒い森」という意味の名前が付いたそうだ。
 大自然と触れ合える場所として、週末や休暇を利用し、遠方からもたくさんの人が訪れる人気スポットだ。場所によってキャンプや釣り、スキーなど、さまざまな活動が楽しめるが、どこへ行っても必ずあるのがハイキングコースである。
 距離は短いものから、1日かけて歩く本格的なものまで、何種類も整備されている。高原湿地や湖の上を歩ける道もある。深緑色の針葉樹林が生い茂る中、道端に咲く花や植物を観察しながら歩くのは実に気持ちよい。山小屋風のロッジで、壮大な景色を眺めながら休憩をとれば、疲れも一気に回復する気がする。
 友人同士や家族連れはもちろんのこと、1人で黙々と歩く人の姿も珍しくない。現代は多種多様な情報が四方八方で飛び交う社会。大半の人が疲労した頭の中を空っぽにしようと、この地を訪れているのだろう。
 もちろん、こうした観光地まで足を運ばなくても、ドイツでは住宅地の周りにも森がたくさん存在する。どんなに小さな森にも遊歩道が整備されているので、気軽にぶらり散歩が楽しめる。
 ドイツに来た当初は、日本に比べて娯楽施設が少ない上に日曜日はショッピングセンターはもちろん、スーパーまで閉まってしまうことに正直戸惑った。散歩以外にすることがない環境が退屈ですらあった。
 しかし、今では体を休ませざるを得ない静かな環境が実に心地よいと思えるようになった。せわしなく動き回ることのない週末と身近にある豊かな自然のおかげで、心身のリフレッシュと、新しく始まる週への活力を養うことができる。そんなドイツ流の暮らしが今ではすっかり気に入っている。(宮武加苗=シュツットガルト在住)

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