リポーター発

アメリカ

米国・感謝祭 平和な日常願う

2016/12/2
感謝祭を前に点灯されたロチェスターのダウンダウン 

感謝祭を前に点灯されたロチェスターのダウンダウン 

 例年より遅めの初雪を観測したミシガン州ロチェスター。サンクスギビングデー(感謝祭)を目前に控えた21日夜、ダウンタウンで点灯式が行われた。約200万個もの色とりどりのランプが冬の夜を鮮やかに照らす。ホリデーシーズンへのカウントダウンの始まりだ。
 一般的には七面鳥を食べて家族で過ごすことで知られている感謝祭だが、その起源をご存じだろうか。時は1620年11月、米国北東部(現在のマサチューセッツ州プリマス)の岸辺に大型船「メイフラワー号」が到着した。英国からのピルグリムズ、いわゆる清教徒たちを乗せていた。
 先住民インディアンのワンパノアグ民族と清教徒の間では、しばらくお互いをけん制する日々が続いた。そのうち清教徒が村をつくり、家族を守るために農耕を始めた。生き抜こうとするその姿を見てワンパノアグ民族は共存する道を選ぶ。
 こうして、農耕や漁業の技術をワンパノアグ民族から教わった清教徒は翌年秋の大豊作を一緒に3日間祝った。この心温まる話には多少の脚色があるとされるが入植者である清教徒が新参者だったのは間違いない。そしてもともとの感謝祭の意義、つまり互恵平等の精神は、サラダボウルと呼ばれる現代の米国においてその意義を保っているのだろうか。
 米国は誰の土地だろう。移民の排斥が大きく取り上げられた大統領選を終えて疑問が残る。次期大統領には民族間の衝突を助長させるような発言が続いた共和党のドナルド・トランプ氏が決まった。私が住むミシガン州でも憤りを隠せない人が多い。デモに参加する人、選挙に行かず自責の念にかられる人・・・。隣人同士が衝突する地域もある。
 トランプ氏勝利について、「キューバ危機を超える衝撃だ」と青ざめる人、「無教養層が(トランプ氏を)支持したのよ」と怒る人など反応もさまざま。子どもが黒人系と白人系のハーフなので将来が不安と訴える切実な声もある。一方、トランプ氏を支持した人は「彼は米国を第一に考えると言ったから投票したんだ」と言い切る。
 オバマ政権下の8年間で改善されなかった自分の生活に対する不安や不満が鬱積(うっせき)した中で、政治家を信用できない、100パーセント賛同できないが何らかの「大きな変化」が見たいという考えでトランプ氏に1票を投じた人も多かったのだろう。
 トランプ氏は大統領就任後、選挙期間中とは全くの別人になるかもしれない。過激な発言も現実路線に向けて軌道修正が相次ぎ、今後の展開は予測不能だ。ある女性が語っていた、「私たちが望むのは、平和と安定した生活よ」が心に染みる。他人への不満や憎しみよりも日常に感謝する気持ちを持つことの大切さを、感謝祭を前に考える今日この頃だ。(プーセンプ麻衣=ロチェスター在住)

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