リポーター発

トルコ

トルコ・串刺しの子羊肉 豪快に

2017/2/20
肉に串を刺しながらそいでいくジャー・ケバブの職人

肉に串を刺しながらそいでいくジャー・ケバブの職人

 トルコ料理といえば、まず頭に浮かぶのはケバブだろう。ケバブとは肉料理の総称で調理法も、じか火焼き、串焼き、蒸し焼きとさまざま。肉じゃがに近いような野菜と一緒に煮込んだものでケバブと呼ばれるものもある。
 日本ではドネルケバブがトルコ発のファストフードとして有名だ。垂直に立てた串に何層も肉を重ねて、肉の柱を作り、それを回し(ドネル)ながら焼いて表面の肉をそぐ。パンにはさんで野菜とソースを加えたサンドイッチをご存じの方も多いだろう。
 そのドネルケバブの前身に当たる料理「ジャー・ケバブ」がトルコの東部エルズルムにある。ドネルケバブの一種なのだが、こちらは横置き式である。滞在中、友達に誘われてお店に行った。彼いわく「ジャー・ケバブは昼前に行くのがベスト」。さらに「肉の表面を一周そいだくらいが一番おいしいから、その時を狙って行くんだ」と説明してくれた。
 店主の好意で前工程を見学させてもらった。材料の子羊の肉を軟らかくするためにおろした玉ねぎとヨーグルトを加える。さらに塩、黒こしょうを入れてなじませ、一晩漬ける。それを大きな串に25枚から30枚刺して重ねると、ドネルケバブのように大きな肉の柱が完成。それを横に倒して焼くのだ。
 焼く際にはまきを使う決まりがあるそうだ。すすの出ないリンゴやナシ、カシの木が使われる。ゆっくり燃えるので長持ちするし、肉もじっくり焼けるのでおいしく仕上がるという。
 オーダーすると、シェフが肉の塊を回しながら焼き具合のいい場所を探す。右手にナイフ、左手にジャーと呼ばれる取っ手のついた金属製の串を持ち、一切れずつナイフで切っていく。20センチもある長いジャーに8切れくらい刺してある。焼き鳥の要領で串を引き抜いて食べるさまは豪快だ。
 肉はやや厚めで軟らか。火に当たっている方は焼き目がついているが、そいだ内側はピンクのミディアムレアな仕上がり。この仕上がりこそ新鮮な肉の証し。横に倒しているので余分な油は下に落ちる。牛肉や豚肉とは違う格別の脂分のおいしさもある。
 注文したケバブを食べ終わりそうになると、店員が注文していないのに、さらに串を皿に置いていく。追加するか、しないかをここではっきり告げなければならない。会計は串の本数で代金が決まるからだ。
 この店では1本10トルコリラ(約310円)だが、周りには十数本食べている人もいた。調子に乗って食べると会計が恐ろしいことになるので、あらかじめ予算を決めるか、お金を全く気にせずに食べるかのどちらかにしたほうがよい。
 職人がかなりのこだわりを持って一串一串丁寧に焼くジャー・ケバブ。それはドネルケバブの中でも別格の存在なのだ。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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