リポーター発

アメリカ

米国・反政権 ボイコットの嵐

2017/3/6
ボイコット対象ショップで処分品になっているイバンカ氏の名前を冠した商品

ボイコット対象ショップで処分品になっているイバンカ氏の名前を冠した商品

 米国では、抗議のための不買運動、ボイコットがこれまで何度も繰り返されてきた。最も著名なのは、1955年にアラバマ州モントゴメリーで起こったバスボイコット運動だろう。市営バスに乗っていた黒人女性が白人男性に席を譲るよう運転手に言われたが拒否。女性は逮捕された。
 これに端を発したアフリカ系米国人によるバスのボイコットは、公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング牧師の呼び掛けで組織化され、バス事業は破綻寸前まで追い込まれた。そして、裁判で違憲判決が下り、モントゴメリーでの人種隔離政策が終焉(しゅうえん)を迎えたのは有名な話だ。
 トランプ政権発足から1カ月が過ぎた。その運営の在り方を巡り、国内ではボイコットが過熱している。不支持派では、トランプ製品の不買運動を促す「Grab your wallet(財布のひもを緩めるな)」キャンペーンが拡大しつつある。
 運動の中心であるインターネットサイトには、ボイコットの対象であるトランプ氏関連の企業名がずらりと並ぶ。業種、対象となる理由や商品、カスタマーサービス、本部の電話番号、電子メールアドレスの情報を網羅する。
 現在のところ、トップテンには、老舗百貨店のメイシーズ、インターネット通販大手アマゾン・コムを含む超大手の企業がランクインしている。対象はトランプ氏の名前を冠したホテルやゴルフ、ステーキやワインだけではない。家具店から金融、広告、メディアまで、あらゆる分野の企業名が約50社も続くから驚く。
 当初リストにあった高級百貨店ノードストロムは、トランプ氏の娘イバンカ氏の名前を冠したファッションブランドの取り扱い中止を宣言した。表向きには、政治的な理由ではないとしているが、ボイコットキャンペーンによる“評判”や“価値”の動向を企業が見極め、方向転換するケースが実際に起こっている。
 一方で、トランプ氏支持派も負けていない。昨年末、食品大手ケロッグがトランプ氏を支持する極右インターネットメディアからの広告撤退を発表すると、ボイコットが起こった。先月にはトランプ氏の移民規制を受けて、コーヒーチェーン大手のスターバックスが世界で難民1万人を雇用すると宣言したが、ここでもボイコットが勃発。ボイコットの対象であるトランプ商品をあえて買って支持しようとする動きもある。
 ボイコットは特別な準備や手間がかからず、消費者として簡単に参加できる手法だ。しかも相手への経済的なダメージを期待できる。メキシコでは、国を挙げて米国製品の不買運動が始まっている。一連のボイコット運動が米国経済へ及ぼす影響は果たしていかほどか。消費者レベルでのトランプ政権の支持、不支持合戦はまだまだ続きそうだ。(プーセンプ麻衣=ロチェスター在住)

この記事に対するコメント
一覧

  • コメントはありません

  • この記事にコメントするへ
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧