リポーター発

トルコ

トルコ・ひき肉載せ 庶民のピザ

2017/5/15
生地を延ばし、慣れた手つきでひき肉を載せる職人。この後、焼き専門の職人が窯へ入れる 

生地を延ばし、慣れた手つきでひき肉を載せる職人。この後、焼き専門の職人が窯へ入れる 

 南東部の食い倒れの街・ウルファ県の代名詞の一つに、ラフマージュンと呼ばれるひき肉を載せたパンがある。LAFM(ラフム)は肉を、MACUN(マージュン)は小麦を練った生地を意味し、語源はアラビア語らしい。
 直径25センチの丸く薄い生地の上に、ひき肉の具を薄く広げて焼く。生地は発酵しているもの、そうでないものがあるが、一枚一枚が薄くパリパリとクリスピーに仕上がっている。トルコでは、シリアに近い南東部や東部が本場といわれる。ウルファ県周辺はオスマントルコ時代からの名残で、現在も多くのアラブ人が暮らす。アラビア風ピザと呼べばぴったりだろうか。
 このラフマージュン、普段は家で焼いたり、レストランで食べたりすることが多い。だが、来客時や大家族や仲間でいただく時には少し勝手が違う。自宅で出す場合は、具の配合にこだわって母の味を再現する。また、行きつけの精肉店にお願いして具を作ってもらうこともある。
 そして、生地を作るパン店に具を持参し、大きな窯で焼いてもらう。代金は、生地と焼き代だけを払う。容易に各家庭の味が再現できるし、自作より簡単で大量に焼く手間も省ける。行きつけの店だから安心だし、経済的にも安い。実に合理的なシステムだ。
 そこで私も、このやり方でラフマージュンを作ってもらうことにした。パン店を見つけて頼んでみた。交渉後、指示された精肉店へ向かい、「ラフマージュン5枚分の具を作ってください」とお願いした。お店の人は羊肉と尾脂を包丁でみじん切りにする。肉のうま味を味わうためには、手作業が最も適しているそう。玉ネギ、パプリカ、シシトウも同様にして、赤唐辛子、塩、黒コショウ、トマトペーストを混ぜ合わせて具が完成だ。
 早速、それを持って窯がある先ほどのパン店へ戻った。「持ってきたから、5枚分でお願い!」と頼んだ。職人が生地を指先や手のひらを使い、うまく回転させながら延ばしていく。かなり軽快な手さばきだ。完成すると、その上に具を薄くまんべんなく広げる。鮮やかなテクニックに思わず見とれてしまう。
 完成したら、窯で一気に焼く。具が均一で美しい仕上がりだ。パリッと仕上がっているのが一目瞭然だ。早速、パセリを敷いて、レモンを搾り、折り畳んでかぶりつく。肉のうま味を赤唐辛子の辛さが引き立てているのが特長。レモンなどでさっぱりと食べるのは、暑い地域では理想的な組み合わせだ。
 ラフマージュンはウルファ県では庶民のピザだが、ウルファ名物のファストフードとしてチェーン店が誕生し全国的に有名になった。今では至る所でが食べられる。レストランでいただくのもよいが、現地のやり方で作って食べると、本来の味を堪能することができる。お薦めだ。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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